藤井七冠が「八冠」へ一歩前進 勝負において“勢い”が重要な要素であることを感じさせた一番

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超人気の羽生、藤井連名の段位免状

 さて閑題。将棋ではアマチュアがアマの段位を取得すると免状がもらえる。といっても、無料ではない。しかも、決して安いものでもない。初段が3万3000円、2段が4万4000円、3段が5万5000円、4段が7万7000円、5段が11万円など、なぜかゾロ目だ。6段は27万5000円もする。

 この免状、現在、羽生善治連盟会長と藤井聡太七冠の連名の署名が入る。それも直筆とあって、3カ月待ちの超人気となっている。決して日本将棋連盟が藤井人気にあやかって稼ごうとしているわけではなく、従来から免状は連盟会長とその時の竜王、名人が署名することになっていた。

 アマチュアの段位は、身近な棋士(プロ)のお墨付きや地域の将棋大会の成績、雑誌の問題などで認定されてきたが。最近は日本将棋連盟によるオンライン対局でも認定されることが多いという。将棋連盟にとって段位認定は大きな資金源である。藤井人気で将棋連盟はホクホクだろうが、すさまじい対局予定(本局以降も4週間で7局)の中も、多数の色紙や免状にサインをしなくてはならない藤井も大変。若いとはいえ身体に無理がないように願いたい。
(一部、敬称略)

粟野仁雄(あわの・まさお) ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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