阪神・岡田彰布監督、選手を奮い立たせた“言葉の魔術”を振り返る! 

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「打たれろ。ムチャクチャしたれ」

 監督復帰1年目の“岡田阪神”がセ・リーグの首位争いを展開している。新聞報道も連日のように岡田語録で賑わう。昨季まで17年間優勝から遠ざかっている阪神だが、最後の2005年の優勝時は、くしくも岡田一次政権時代だった。時には熱く、時には人情味豊かな一面も見せた当時の岡田彰布監督の名場面と名言を振り返ってみよう。【久保田龍雄/ライター】

 文字どおり“火のように熱い采配”を見せたのが、2005年9月7日、中日との首位攻防戦である。3対1とリードして最終回を迎えた阪神だったが、この回からマウンドに上がった久保田智之が連打を浴び、無死二、三塁のピンチを迎える。

 次打者・谷繁元信は二ゴロ。関本健太郎の本塁送球はクロスプレーとなったが、橘高淳球審の判定は「セーフ!」。

 アウトを確信していた岡田監督はベンチを飛び出すと、「そんなん“セーフです”と言われて、“そうですか”と納得できるか。こんな大事な試合、ジャッジしたら終わりってあるか!」と掴みかからんばかりの勢いで抗議した。

 18分の中断後、試合が再開されたが、井上一樹の犠飛で同点にされ、なおも1死二、三塁。一打サヨナラのピンチを前に、岡田監督はマウンドに足を運ぶと、久保田に言った。

「打たれろ。ムチャクチャしたれ。それしかないやろ。お前の責任やない。オレが責任を取る」

 最大級の熱い檄に「もう開き直るしかない」と腹を括った久保田は、気迫を全開にして、渡辺博幸、ウッズを連続三振に切って取った。

 そして、延長11回に中村豊の決勝ソロが飛び出し、絶対に負けられない一戦を4対3で劇的勝利。中日・落合博満監督に「監督で負けた」と言わしめた岡田阪神は、ここから6連勝を記録し、9月29日に2年ぶりのリーグ優勝を決めた。

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