激増する「国際ロマンス詐欺」の犯人は“ナイジェリア”にいた! 現地で直撃した詐欺犯の告白「これはサービス業なんだ」

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コロナ禍で相談件数が急増

 SNSやマッチングサイト上で知り合った人物に多額の金を騙し取られる「国際ロマンス詐欺」。詐欺師らは、海外に住むセクシーな女性兵士や、イケメンの軍医、裕福なインフルエンサーなどを装ってターゲットに近づき、SNS越しに愛を囁く。被害者の気持ちが盛り上がったところで、あの手この手で金を巻き上げる。「多額の現金が入った荷物を送るための費用が必要になった」などと困った様子で持ちかけたり、あるいは暗号資産投資を持ちかけたりといった具合である。国民生活センターに寄せられる相談数は2019年度の72件から20年度には678件、21年度には1701件まで激増したという。

 ひとりのターゲットに対して何度も金を要求するため、一件あたりの被害金額が高いことも特徴だ。22年には山梨県の男性が総額1億5400万円もの大金を振り込むという被害も報じられた。

 恋心を抱かせ、言葉巧みに何度も金を騙しとる――。詐欺師たちはどんな人物なのか。『ルポ 国際ロマンス詐欺』(小学館新書)の著者でノンフィクションライターの水谷竹秀氏は、日本人被害者への取材に加え、“ナイジェリア”に渡って詐欺師の実態を取材。現地で“ヤフーボーイ”と呼ばれる詐欺師たちは巨万の富を築き、有名インスタグラマーとしてそのゴージャスな暮らしぶりを発信していたのだ。水谷氏がその知られざる実態を明かした。【聞き手:高橋ユキ/ノンフィクションライター】

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――「国際ロマンス詐欺」は、海外にいる詐欺師が、SNSを介してターゲットとコンタクトを取り、恋愛感情を抱かせた上で金を騙し取るという手法です。加害者はネット上にある他人の写真を勝手に使い、架空のプロフィールをでっち上げた上で、被害者に接近してくる。被害に遭う期間も長く、被害者が途中で少し疑うようになっても、“相手を信じたいから”金を出し続けているように感じました。

 そうですね。特殊詐欺と比べても、被害者側に“あきらめがつかない”というところはあると思います。実際に大金を失っているので、簡単に引き下がれないのは事実。さらに、詐欺に遭って金を騙し取られたと認めることは、そのまま“失恋”を認めることになる。心のどこかで相手を信じたいからこそ、このままで終わりたくないという気持ちがやっぱり強く、結果的に金を注ぎ込み続けてしまう。

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