【女子レスリング】金城梨紗子の五輪出場は絶望的 「いつか、ママは頑張ってたんだねと思ってもらえれば嬉しい」

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 東京五輪で姉妹金メダルを成し遂げた女子レスリングの金城(旧姓・川井)梨紗子(28=サントリービバレッジソリューション)と川井友香子(25=同前)。しかし、6月15日から18日に開催された全日本選抜選手権(明治杯)では残念な結果に終わり、姉妹はともにパリ五輪行きが厳しくなった。【粟野仁雄/ジャーナリスト】

姉が初めて見せた大敗

 明治杯の女子57キロ級には、五輪2連覇中の姉・梨紗子が登場。初戦(準々決勝)で田村生吹(23=自衛隊)を破り、準決勝で昨年の世界選手権覇者・桜井つぐみ(21=育英大)と対戦した。

 第2ピリオドの始めまでは1対1と互角だったが、梨紗子はバックを連続で取られて1対5に。反撃を試みるも、両足を抱えられての桜井のローリング攻撃を止めることができなかった。次々と加点を許し、結局、梨紗子は11対1でテクニカルフォール負けした。

「首を痛めた」として3位決定戦を棄権した梨紗子は、これでパリ五輪への自力での出場の可能性は消滅した。

 至学館大の大先輩・吉田沙保里(40)と並ぶ五輪3連覇の期待がかかっていた梨紗子は、東京五輪後、元レスリング選手の金城希龍(30=敦賀気比高校レスリング部監督)と結婚し、昨年5月に女児を出産。現在は福井県敦賀市に居を構える。10月から試合に復帰し、12月の全日本選手権(天皇杯)では非五輪階級の59キロ級で優勝している。

 今回の明治杯から五輪階級の57キロ級に復帰。敗れはしたが、9月にベオグラード(セルビア)で開かれる世界選手権の代表を決める、59キロ級のプレーオフ出場資格は残っている。7月開催のこのプレーオフについて、梨紗子は「エントリーはします」と答えたものの慎重だった。

 一方の桜井は決勝で昨年の天皇杯覇者・南條早映(23=東新住建)を破った。このため桜井と南條が世界選手権の代表を決めるプレーオフに臨む。2人のうちどちらかが世界選手権で3位以内に入れば、パリ五輪の代表に決まる。そして、梨紗子の五輪3連覇の望みは絶たれる。

 つまり、梨紗子がパリ五輪に出場できる可能性は、桜井か南條が世界選手権で3位以内に入れなかった場合しかない。その上で、今年12月の天皇杯で梨紗子が優勝すれば、プレーオフになる。世界選手権で桜井か南條が5位にも入れない場合は国別枠を失い、天皇杯で一からのスタートになる。優勝者が来春のアジア選手権などで国別枠を取らなくてはならないが、他力本願の上、極めて険しい道のりだ。

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