講談社『週刊現代』で“パワハラ騒動” 新編集長就任で部員4名が「出社拒否」に労働組合も動き始めた

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「頭が悪い」「小学生レベル」と罵倒

 だが、編集部員への当たりが強く、パワハラと取られかねない問題行動が多数あったというのだ。当時の編集部の様子を知る複数の関係者はこう証言する。

「毎日のように机を叩いて大声を出し、部下を脅すような態度を取っていました。さらに、他の編集部員もいる中で、若手社員を『頭が悪い』『小学生レベル』などと罵倒しながら長時間叱責。それぞれの部員が書いた原稿は最終的に編集長が確認するのですが、プリントアウトした原稿を見せると放り投げたり破ったりすることもあった」(若手社員)

 別の社員もこう続ける。

「編集部のフロアーで編集長が電子タバコを吸ったり、コロナ禍でも一切マスクを着用しないことも社内で問題になった。編集長の要求に応えるため、長時間労働が常態化し、部員は疲弊。編集部内の空気も悪化していきました」(中堅社員)

 そして、就任中の1年半ほどの間に5名の若手社員が次々と会社を休むようになり、その内2名が退社。うち1名は、当時、匿名のTwitterアカウントで《朝出社してすぐに怒鳴られ、「無能」だと見下される》、《静かなオフィスで1人だけ怒られているときの羞恥心》などと心境を呟き、社内で話題になっていた。

前代未聞の“パワハラ防止策”

 若手社員が1週間、音信不通になる“失踪事件”までもが発生した。さらに、21年6月に配属された新入社員は、ギスギスした編集部の雰囲気に耐えられず、その年の11月には会社に来られなくなってしまった。結局、在任中の1年半ほどの間に5名が休職したことが決め手となり、21年11月に編集長を交代することになったという。

「ところが会社側は、“パワハラ問題”として十分な調査を行いませんでした。実際、社内には『休職した5人のケースすべてが編集長の責任ではない』という声もあった。当時はコロナ禍の真っ盛りで、多くの社員が精神的な不安を抱えており、そうした状況が休職に繋がったと考える者もいたのです。休職者以外にもパワハラを受けていた社員は多数いましたが、編集長の交代に安堵したためか積極的な告発はありませんでした。組合も大きく問題視することなく、一度はこの問題は忘れ去られたのです」(前出・中堅社員)

 だが、今回の「再登板」で騒動が再燃した。批判の矛先は、編集長より人事を断行した常務取締役の担当役員に向かっているという。

「今回の編集長人事には人事部も組合も反対したが、最後は担当役員が独断した。彼は周囲に『アイツにもう一回チャンスを与えてやりたい』と漏らしていたといいます。そんな情実人事で下につく社員がどんな思いをするのか、経営陣はわかっているのでしょうか。しかも、担当役員は編集長の過去のパワハラを半ば認めており、にわかには信じがたい再発防止策まで講じているのです」(前出・中堅社員)

 その“対策”が、編集長は企画の採案には関与するが、原稿作成のプロセスはすべてデスクに任せ、一切コミットしないというもの。編集長は原稿も読まず校了紙しか目を通さないという。「これで部員と接触する機会を極力減らせる」と担当役員は語ったというが、社員はこう続ける。

「これを聞いて、みなが目を点にしました。それってもはや編集長とは言えないんじゃないかと」(同前)

『週刊現代』がある部局ばかりでなく全社的に、この人事に社員は驚愕したという。別の部局の社員もこう首を傾げる。

「正直言って意味がわからないというのが一番の感想です。パワハラの有無はともかく、“疑惑”があったことは確か。今回のボイコットを入れると、彼は9人を休職に追い込んだってことでしょう。なぜそんな混乱を招く人事をあえて行ったのか謎すぎます」

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