「1杯500円」でもリピーター続出 大人気「生搾りオレンジジュース自販機」は何がスゴいのか

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 カラフルで目を惹く“風貌”から「なんだアレ?」と巷で話題になっているのが、搾りたてのオレンジジュースをその場で飲める「生搾りオレンジジュース自動販売機」だ。首都圏を中心に設置台数が急増しており、実際、街中で見慣れないオレンジの筐体を目にする機会も増えている。人気の裏には“自販機の概念”をくつがえす意外な理由があった。

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 生搾りオレンジジュース自販機「Feed Me Orange」が日本に初めて登場したのは2021年7月。先行して台湾やタイ、シンガポールなどで人気を集めた「未来の自販機」の上陸は当時、話題にこそなったものの、設置台数の少なさから限定的なブームにとどまった。

 しかし「Feed Me Orange」は現在、首都圏を中心に大阪や兵庫、和歌山、茨城県などで約400台が稼働中(23年5月末時点)。さらに今年4月からは「IJOOZ」ブランドで知られるシンガポール発の同タイプの自販機も日本に上陸し、注目度は急上昇している。

「Feed Me Orange」は1杯500円、「IJOOZ」は同350円と自販機の商品としてはかなり割高だが、使用されるオレンジは1杯につき、いずれも約4個。コインを投入後、オレンジがカットやプレス、搾汁の工程を経てカップに注がれるまでの時間は40秒程度だ。

 都内の繁華街に設置された「Feed Me Orange」の前で、購入者に声をかけて感想を聞いてみると、「スーパーでオレンジを買っても1個100円程度はするので、あまり割高とは感じない。むしろ“頑張った自分へのご褒美”感覚で飲んでいる」(30代女性会社員)との答えが返ってきた。

“エンターテイメント”要素

 人気の理由を「自動販売機マニア」として知られる石田健三郎氏はこう分析する。

「生搾りオレンジジュース自販機の最大の特徴は筐体の一部がスケルトンになっていて、購入者はオレンジが搾られる過程を逐一、その目で見ることができる点です。子供には特に人気を博しているようで、自販機の前でお子さんを抱っこした親御さんの姿などもよく目にする。いまや自販機は“便利”なだけでは生き残れなくなっており、“エンターテイメント性”を付与した点がヒットの理由の一つと考えます」

 また目の前で搾られるので「果汁100%」に偽りはなく、最近の人工甘味料や添加物を敬遠する健康志向の流れにもうまく乗る形になったという。

「1杯350~500円は決して安くはありませんが、逆にいえば“一度、試してみようか”と考え、手を伸ばすには絶妙の価格帯。そして実際に飲んでみると、本当においしい。飲み終わると“4つのオレンジを絞って500円って安いのでは?”と思い始め、リピーターになる人も少なくありません」(石田氏)

 一方で、こんな声も。Feed Me Orangeの前で思案顔だった50代女性は「メンテナンスはどうなっているんでしょう?」と話し、しばらく悩む素振りを見せた後、購入することなくその場を立ち去った。

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