「プーチンを揶揄」「ロシア軍をナチスドイツになぞらえ…」 ロシアのジョーク「アネクドート」から読み解く本当の民意

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歴代指導者を非難し皇帝を称賛

 KGB(ソ連国家保安委員会)の将校だったプーチンは、ソ連に思い入れがあると見られがちだが、実際にはソ連指導者を酷評し、18世紀の帝政ロシア皇帝、ピョートル大帝やエカテリーナ女帝を称賛する。

 プーチンは、「レーニンはロシア人の住む地にウクライナ共和国という人工国家を作った」「スターリンはドイツから奪った領土をウクライナに与えた」「フルシチョフはロシア固有のクリミアをウクライナに帰属させた」などと歴代ソ連指導者を非難。返す刀でツァーリ(皇帝)を称賛する。

 特にトルコとの戦争でウクライナ南東部やクリミアを奪ったエカテリーナ女帝を称え、「ピョートル大帝より効果的な君主だった。女帝の時代にロシアは領土を拡大した」と評価した。国民対話で、「今読んでいる本は、エカテリーナ女帝時代の歴史書だ」と明かしたこともある。

 新型コロナ禍の隔離生活で帝政時代についての歴史書を読みあさって形成されたゆがんだ歴史観が、ウクライナ侵攻につながったとの見方もある。それを皮肉ったのがこんなジョークだ。

 問=ピョートル大帝とプーチン大統領の共通点は何か?

 答=ともにロシアを19世紀に導こうとしている。

アネクドート・サイトを規制

 西側諸国の厳しい対露経済制裁の苦境を笑い飛ばそうとするアネクドートも生まれた。

 米国の対露経済制裁に伴い、マクドナルドなどのファストフード、コカ・コーラ、ペプシコーラ、アップルやフェイスブック、ツイッターがロシアから撤退した。医師がコメントした。

「ロシア人はこれで、心身ともに健康になれる」

 プーチン政権は国民を西側の情報から遮断するため、インターネットやNetflixを統制した。

 新しいサービスは、「インターニエット」、「Nyetflix」と呼ばれる。

 ロシア語で「ニエット」は「ノー」を意味する。

 戦争が長期化する中、プーチン政権は指導者がジョークで揶揄されることを恐れ、アネクドート・サイトを次第に規制し始めたようだ。昨年秋以降、ネットやSNSへの政治ジョークの投稿も減ってきた。

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