乃木坂46のダンスは「難しいことを平気でやっている」 元アイドル振付師だからわかる”上手い坂道メンバー”の意外な名

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日本のアイドルとK-POPの「違い」

 日本のアイドルだけでなく、K-POPのアイドルにも変化はあるのだろうか。

「K-POPはTWICEがいる限り、手振りが多く、フォーメーション移動がすごい感じが続くと思います。そのTWICE以降の流れを、今、NewJeansが壊している最中です。NewJeansは手先の動きがなく、体全体の動きで見せています」

 さらにK-POPとJ-POPでは全体の動きに大きな違いがあるという。

「これは映像のカメラマンが話していたんですが、日本のアイドルはAメロではぎゅっと集まるけど、サビでは大きく広がるという動きが多いですが、TWICEなどK-POPのフォーメーションって全体を映すためカメラを引いたときに、縦で収まるようになっているんです。ダンスプラクティス動画を出すのも当たり前になっているので、フル尺を縦で撮れるようになっています。メンバー同士の距離が近い中で激しく踊っているので、手を出す角度や手の動線までも気にしているだろうし、すごく練習してるんだろうなって思います。一方で、NewJeansは真ん中だけでなく、中心からはみ出ますし、そこでもこれまでのK-POPの流れも変えています」

 K-POPの人気で、日本国内のダンススキルも上がってきている。

「まずキッズのダンススクールが増えましたね。私は仕事のため、ダンススタジオに常にいるんですけど、廊下に出るとK-POPがそこかしこから聞こえてくる。若い子がダンススタジオを借りて、友達とダンスの練習をしているんです。そして動画を撮ってTikTokにあげる。カラオケみたいな感じで、ダンススタジオに入って、一緒に踊って、TikTokを撮るのが遊びの一つになっています。TikTokでも前までだったら簡単な振り付けしか踊れないし、流行らないって感じだったんですが、今は難しい振り付けをダンスチャレンジとして、一般の子が平気で踊ったりしています」

 アイドル、ひいてはJ-POP全体のダンスの難易度は上がる傾向にはあるが、槙田さんはむしろ難易度を下げることが必要だと語る。

「子どもが踊れることがダンスの究極なんじゃないかと考えていて、個人的には簡単な振りを作っていかなきゃいけないと思っています。YOASOBIの“ツバメダンス”、パプリカもそうですけど、踊りを大きくとらえたときにみんなが踊れることこそが意味を持っている気がしています。今はこんなに踊れますよ!という技術を見せるためのダンスになってきていますが、そうではなくて、音楽にのるのってすごく楽しいねというのがダンスの本質かなって。そこは自分に対しての課題にしています。ただ簡単な振りでインパクトを作るのがすごく難しい。料理と一緒ですね。シンプルだけどおいしいのが一番難しい。今、日本はK-POPの影響で技術を見せる方向に向かっているんですけど、結局日本はK-POPにはなれない。だからダンスの傾向も戻るんじゃないかと思ってます」

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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