宝塚歌劇団で異例の長期休養、今後は働き方改革へ 「各組のトップは激務」

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 松竹が主催する歌舞伎の公演に「休演日」が導入されたのは、わずか3年前。それまでは1カ月に25日の通し公演が当たり前で、役者たちには1日たりとも休みはなかった。

「当時、海老蔵を名乗っていた市川團十郎の訴えがきっかけですよ」

 と言うのは演劇担当記者。

「いわく“休みなしで昼夜2回の公演は重労働。1日も完全休養がないのは良くない”と。多くの歌舞伎役者が賛意を示し、いまでは月に2日の休みが設けられています」

 演劇界も働き方改革――。それは創立110周年を迎える宝塚歌劇団も例外ではない。担当記者が解説する。

「先月末、歌劇団は星組トップの礼真琴(れいまこと)が10月9日から11月2日まで休養すると発表しました。この間、星組は福岡・博多座でミュージカル『ME AND MY GIRL』の公演があり、礼が主演するはずでした。代わりに専科に異動したばかりの水美舞斗(みなみまいと)と、星組2番手の暁千星(あかつきちせい)が役替わりで主演することになりました」

トップ就任からわずか数年で退団する背景

 宝塚では過去にトップスターがケガや病気で休演したことはあるが、それ以外の理由で長期の休養を取るケースはまれだという。

「本人は会見で“自らのコンディション、体の調子を見つめて整えていくための期間。レベルアップして戻ってきたい”と笑顔で語りました。歌劇団側も、今後は順次、各組のトップスターを中心に休養を取らせる方針を明らかにしています。働き方改革の一環ですね」

 その礼は現在、6月2日から7月2日まで本拠地の宝塚大劇場で、7月22日から8月27日まで東京宝塚劇場で、主演を務める星組公演「1789―バスティーユの恋人たち―」の稽古中だ。

「本来なら、東京公演の1週間後には福岡公演の稽古に入るはずでした。各組のトップはせりふや歌唱の量が他の団員と比べて段違いに多いうえ、激しいダンスの場面が多い」

 ハードな役回りは舞台の上にとどまらず、

「組全体に目配りをしつつ、メンバーをけん引するリーダーシップや責任感が求められる。ほかにもメディア対応や、さまざまなイベントに宝塚の“顔”として出演する大切な役目も。各組の歴代トップスターたちが、トップ就任からわずか3~4年で退団していく背景には、こうした激務の影響も指摘されているんです」

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