アカデミー賞6部門ノミネート 話題の映画「TAR/ター」を完全制覇するための5つのポイント

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(3)さすがに本物のベルリン・フィルは登場しないけれど…。

「ところが、ベルリン・フィルより10余年古い歴史をもつ、名門ドレスデン・フィルハーモニーが“ベルリン・フィル役”で出演し、実際に演奏しているのです。これはちょっと驚きました。しかも映画ではコンサート・マスターが女性との設定になっていますが、これは今年の4月から“実話”になっているんです」

 というのも、この4月からベルリン・フィルには、140年余の歴史上初の女性コンサート・マスターが実際に誕生しているのだ。映画が現実を先取りしていたのである(アメリカでは昨年10月に公開)。

 だが富樫さんがさらに驚くシーンが、この次にあった。

(4)CDジャケットの撮影シーン。

「リハーサルの合間に、CDジャケットの撮影シーンがあるのですが、これが、現実の名盤のジャケット写真を参考にして撮影しているのです」

 それが、1993年録音のクラウディオ・アバド指揮、ベルリン・フィルハーモニーによるマーラーの第5番だった。

「これは、ドイツ・グラモフォンから出た名盤ですが、どうやらターは、この名演を超えるといいたいようで、わざとそっくりなジャケットにするのです」

 しかも、そのジャケット写真がそのまま現実のサントラCDとなり、おなじドイツ・グラモフォンから発売されているのだ。これまた、どこまでが現実で、どこからが架空なのか、さらにわからなくなってくる。

次ページ:(5)ターが誰かから贈られた本をなぜか破り捨てるシーン。

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