亡くなった父親の日記を読んで知った“本当の夫婦関係”に衝撃… 不倫で悦びを知った43歳夫の述懐

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僕は彼女の思いのままに…

 日々、親子関係や夫婦関係、さらには性的なことなどを考えてモヤモヤしているとき、「まるで神様が会わせてくれたような」関係が始まった。学生時代の友人と久しぶりに会った帰り、同じ駅で降りた若い女性がふらふらしているのが目に入った。

「どうしたんですか、大丈夫ですかと支えたら、気分が悪いと。救急車を呼びましょうかと聞くと、家がすぐそこなので帰りたいと言うから送って行った。ワンルームマンションでしたが、きれいに片付いた部屋でした。彼女をベッドに寝かせたまではよかったけど僕が帰宅してから具合が悪くなったらどうしようと思うと帰れなくなってしまった。しかたがないのでそのままベッド脇に座っていたんです。2時間ほどたって彼女が目を覚ました。僕を見て一瞬ぎょっとしていましたが、すぐに思い出したようで『ごめんなさい。いてくださったんですね』とニコッとした。その顔がかわいくてね。もう大丈夫だと思ったから、帰りますと立ち上がったら彼女が、私、あなたを知ってるんですと言い出した」

 実は彼女、同じ駅で電車を乗り降りする彼を何度か見かけていたそうだ。だからといって彼を狙っていたわけではなかった。その日は本当に急に気分が悪くなったらしい。

「彼女の勤務先も僕の会社から近かった。『今度、お礼に食事でもいかがですか』と言われたので、社交辞令でぜひと答えたら、数日後、連絡が来ました。女性とふたりきりで食事をするなんてめったにあることじゃないから緊張しました。でもなんとなく彼女には会いたかった」

 彼女はゆかりさんと言い、彼より一回り年下だった。会社近くのレストランで食事をしている最中、彼は思わず彼女から目が離せなくなることがしばしばあった。

「食べ方がきれいなんですよ。話しているときはじっと僕の目を見る。彼女の目は常に潤んでいてなんとも色っぽかった。女性の色気を生まれて初めて感じました。彼女に見られているだけで体の奥から力がわいてくる感じでした。そのとき彼女がバツイチだということも知りました。『若気の至りで、25歳のときに50代の男性と結婚したんですが、2年ほどで卒業しました』と彼女は言うんです。卒業って離婚のことかと尋ねたら、『そうだけど、気持ちとしては本当に彼からの卒業だったんです』って」

 食事を終えると、ふたりは帰宅するために電車に乗り、同じ駅で降りた。駅を挟んで反対側に住まいがあるのだが、彼は彼女を送っていった。自分ではその気はなかったが、彼女に勧められるままに部屋に上がったという。

「もうその時点で僕は彼女の思いのままになっていました。何だったんだろうと今でも思うんですが、逆らえない感じ。そして今まで眠っていた僕の体の奥に、彼女が火をつけたんです。信じられないくらい積極的に攻めてくるんですよ、彼女が。え、え、女性からこんなことまでしちゃうのというくらい。びっくりしたけど体が気持ちいい、体も心も喜んでいる感じがして、彼女に主導権を握られたまますべてが終わりました」

 ゆかりさんは、幸平さんの耳元で「すごく感じちゃった」とささやいた。その声に脳が反応し、幸平さんはすぐに体が回復したという。性の楽しさを初めて知ったのだ。もう止めようがなかった。

「僕も父と母の血が流れている。そう思いましたね。そしてそれでもいいんじゃないかと思わせるものがゆかりにはあった。ゆかりは性と生を肯定しているタイプ。ある意味では快楽主義者というか。関係を持ってしばらくしたころ、『夫と離婚したのは、彼と一緒にいてもこれ以上の快楽を感じられないとわかったから。上限が見えちゃったの』と言いました。今はどうなのと聞いたら、『あなたと私、最高の相性だと思う』って。性の相性がいいというのはこういうことなのかと僕も感じていました」

 自分がリーダーシップをとる必要はない。互いの体が溶け合うような感覚は、数日離れているだけで恋しくなる。会えばまた溶ける。仕事だけは必死にこなしたが、彼の目も心も家庭からは離れた。

「ゆかりは不倫が後ろめたいみたいなことはいっさい言わないんです。こんなに相性がいいんだから、もっと楽しいことをしようと明るく提案してくる」

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