MLBでも使い手は2・5%…「投手・大谷」を躍進させる新魔球「スイーパー」の威力は?

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 華のあるホームランもいいが、今シーズンは「投手・大谷」として大躍進のシーズンとなりそうだ。

 メジャーリーグ(MLB)エンゼルスの大谷翔平(28)は、5月2日時点で4勝・負けナシ、防御率1・85、奪三振46、WHIPも0・82と絶好調である(5月2日時点)。

 5勝を挙げた投手が3人いるため勝ち星はリーグ4位タイだが、奪三振は2位タイ。防御率とWHIPも5傑に入っている。

 MLBの公式サイトによれば、「開幕から先発登板6試合(30イニング以上)で被打率1割2厘」は1916年以降で最小記録だという。

「2021年には本塁打王を争い、昨季も2年連続でMVPを争いました。出場機会の多い打者部門ではすでにタイトル争いの常連ですが、今季は投打の両方でタイトルを獲る可能性も出てきました」(米国人ライター)

「投手・大谷」が飛躍した要因は、“シン魔球”の「スイーパー(Sweeper)」によるものだろう。

 いまMLBではスイーパー旋風が巻き起こっている。その仕掛け人はもちろん大谷だ。ボールの軌道はスライダーとほぼ同じだが、曲がる角度が鋭角で、曲がり幅がとにかく大きい。ピッチャーズマウンドから見て、右バッターの胸元から外角ギリギリのストライクゾーンを通過してキャッチャーミットに収まる。球速も130キロ台後半という代物だ。

50センチは曲がっている魔球

 ホームベースの横幅は17インチ(43・2センチ)だから、「50センチくらい曲がっている」のだろう。「ホームベースを箒で掃くように」ということで、スイーパーと名づけられたそうだ。

「大谷は昨季後半からウィニングショットとして、このボールを投げていました。今シーズンからは投球の約半分がスイーパーです。MLBのアナリストやデータ解析会社が、スライダーと同一にすると計算が合わなくなるため、“新球”として扱ったんです。ただ、何センチ以上曲がったらスイーパーで、何センチ以下がスライダーという定理づけはされていません」(同前)

 WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の決勝で大谷がマイク・トラウト(31)に投じた最後の一球も、160キロ台の剛速球でなくスイーパーだった。トラウトはその後日談として、

「大谷がウィニングショットでスイーパーを投げてくるのは予想できたけど」

 と、エンゼルスの地元ロサンゼルスの記者たちに語っていた。つまり、トラウトのような超一流のスラッガーが「来る」と分かっていても打てなかったのである。

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