選手層は薄く、球団は補強に消極的…最下位の日ハム「新庄監督」は苦境を乗り越えられるか

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ファームで首位争いをしている理由

「日ハムは選手層の薄いチームです。選手を主力、控え、育成、構想外に分け、それぞれの役割分担を考えていますが、経験豊富なベテランより、若手が中心になっている。チームの総年俸もしっかり決めているので、シーズン途中での補強にも消極的です」(同前)

 選手層の薄さと球団の経済理念が新庄監督を苦しめているのは間違いないようだが、こんな見方もできる。日ハムの二軍は現在、イースタン・リーグで首位争いをしている。一軍選手も若く、二軍でチャンスを待つ選手たちともほぼ同年代だ。つまり、他球団の同年代の選手たちと試合をすれば勝てるが、少し年上の脂の乗り切った30歳過ぎの選手たちにはまだ敵わない……。この若い選手たちでやり繰りしなければならないのが、日ハムの現状でもある。

「一昨年、中田翔(34)が巨人に移籍し、“全国区の選手”は清宮と吉田輝星(22)くらいしかいません。日ハムの取材に行く際は、選手名鑑が必需品になりました。去年のキャンプやオープン戦では、新聞記者が背番号を見て名鑑で選手名を確認したところ、捕手登録されていた選手が外野を守っていたこともありました」(前出・地元メディア関係者)

 他ポジションを守らせたのは「可能性を探るため」だが、奇を衒った選手起用について「選手をコマとしか見ていない」という批判もあったそうだ。もっとも、今も日ハムの選手に新庄監督に関する質問をすると、「ボスは……」と答えるので慕われているのは間違いないようだ。とはいえ、新庄監督の掲げる野球像が今の日ハム選手に適しているかどうかは疑問だ。

「走者一・三塁の場面で、一塁走者が二盗を仕掛け、捕手が送球するのと同時に三塁走者が本塁に突っ込むような……。足の速い選手は多いですが、クリーンアップの清宮や野村佑希(22)にも走らせています。投手陣では当初、伊藤にクローザーを任せるつもりでしたが、説得に失敗しました。昨夏、球場内のテレビで甲子園大会を見ながら、色々とメモを取っていました。昨秋のキャンプからプッシュバントの練習をさせているのは、その影響でしょう」(前出・記者)

 また、新庄監督の阪神時代を知るプロ野球OBによれば、「野球偏差値は高い選手だった」という。センターの守備位置から味方バッテリーのサイン交換も見ていて、攻守交替でベンチに戻ってきた後、配球面に意見するなどしていたそうだ。外野守備にしても同様だ。本当はフェンス直撃なのに、落下地点に追いついたフリをする。走者はそれにダマされて走るスピードを緩める。本来ならば三塁まで到達していたケースでも、落下地点に追いついた演技が巧ければ、二塁まででストップさせられるというのが「新庄野球」なのだ。

 アイデアは湯水のごとく沸いてくるが、それを実践できる、いや、その発想についていける日ハム選手はかなり少ないのではないだろうか。

 采配について、こんな話も聞かれた。

「先発投手が打たれていると、指揮官はその後のリリーフ投手のことで頭がいっぱいになります。でも、新庄監督は『先発ではなく、リリーフに回したらどうなるのかな?』も考えています。打順にしても、決めるまでも長いし、決めた後、オーダー表を見直して、また考え込むんです。その作業を何度も繰り返しています。それも毎日」(前出・関係者)

「優勝を狙う」と言った意気込みは、本当のようだ。こうした毎日の苦労を少しでも楽にしてあげるためにも、球団には緊急補強のお願いを聞き入れてもらいたいものだ。

デイリー新潮編集部

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