データの改竄・操作が続々発覚 世界から疑惑の目を向けられる中国「論文工場」、専門家は「今後はChatGPTが不正の担い手になる」と指摘

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 中国人による不正論文の“大量生産”疑惑が科学界を揺るがしている。中国人研究者が発表した論文内に、エビデンスの偽造や捏造の“痕跡”が次々と見つかり、対策を講じる動きが加速。しかし専門家らは、その背景に広がる中国社会の過酷な“チキンレース”の是正が進まないかぎり「問題根絶は不可能」と警鐘を鳴らす。

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 本当は実験などしていないのに、あたかも検証してデータが得られたかのように装い、学術誌に論文として投稿する――。こういった手口で偽造や捏造された「中国発」の論文の存在に注目が集まっている。

「今春、英経済紙『フィナンシャル・タイムズ(FT)』などが報じたもので、中国人研究者による不正な論文が大量生産されている疑惑に焦点を当て、偽造された論文を量産する中国の“論文工場”の存在も指摘。いまや科学研究分野において中国の論文発表数はアメリカに次ぐ2位となり、昨年には論文引用数で初めてアメリカを上回った。そのため欧州の科学界を中心に重大な懸念が示されています」(全国紙外信部記者)

 不正の手口として、仮説を証明するエビデンスの画像データをデジタル操作したり、別の実験に使われた画像の色彩や抽出部分を変えて使い回すなどといったケースが報告されているという。

 不正横行の背景として指摘されるのが、中国の行き過ぎた競争社会だ。医師や研究者らは論文を発表することが昇進に繋がるだけでなく、ノルマと化して「質より量」が重視される傾向にあるという。

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