中国をはじめBRICSで進む“ドル離れ”の動き 真の要因はアメリカにあり 心配される前代未聞の事態

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中国に追随するブラジル

「中国が国際基軸通貨であるドルの弱体化を望んでいるという一定の証拠がある」

 米大統領経済諮問委員会(CEA)のメンバーのジャレッド・バーンスタイン氏は米上院銀行委員会が4月18日に開いた公聴会でこのように述べた。

 この発言は、昨年2月のロシアのウクライナ侵攻後に、中国を始めBRICS(ブリックス)の間で「ドル離れ」の動きが生じていることを意識したものだ。

 BRICSとはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国の英語の頭文字を並べたもの。これら5カ国は著しい経済発展を遂げ、今後の世界経済を牽引する存在になることが期待されている。

 BRICS首脳でドル離れの姿勢を最も鮮明にしているのは、今年1月にブラジル大統領に返り咲いたルラ氏だ。ルラ氏は中国を訪問中の4月13日、新開発銀行(NDB)本部を訪れた際、BRICS諸国に向けて自国通貨で決済するよう呼びかけた。

 NDBはBRICSの5カ国が2015年に設立した国際開発銀行であり、国連の全加盟国に会員資格を開放している。2021年にはバングラデシュ、ウルグアイ、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプトが新たなメンバーとなった。

 ルラ氏は順風満帆にみえるNDBについて「グローバルサウス(南半球を中心とした途上国)にとっての偉大な銀行になる可能性がある」と力説した。

 ブラジル政府は3月29日、中国との間の貿易決済を自国通貨で行うことで合意している。ブラジルは大豆やトウモロコシなどの大輸出国であることから、今後穀物取引の分野でドル離れが進む可能性が高まっている。

国際貿易決済での人民元シェアは2倍以上

 BRICSの中でドル離れを最も進めているのは中国だ。

 国際銀行間通信協会(SWIFT)によれば、国際貿易決済に占める人民元のシェアは今年2月に4.5%と、前年の2倍以上となった。

 中でも顕著なのはロシアとの貿易決済だ。ロシア中央銀行は4月9日、「昨年のロシアの輸入決済に占める人民元のシェアが前年の4%から23%に急上昇した。今年に入ってもその比率は上昇を続けている」と明らかにした。

 中国は近年、米国の制裁に苦しむイランやベネズエラなどから人民元建てで原油や液化天然ガス(LNG)の購入を増やしてきた。今年3月にはUAE産LNGについても人民元建てで購入することを決めており、資源取引の分野でもドル離れを実行中だ。

 経済が拡大し、中国をライバル視する傾向が強まるインドも負けてはいない。

 隣国マレーシアと自国通貨(ルピー)による貿易決済を行うことで合意するとともに、原油輸入を急拡大させているロシアとの間でも、LNGを含む化石燃料の購入をルピー建てで行うことを検討している。

 ロシアも資源取引の分野で自国通貨(ルーブル)決済の範囲を拡大しようとしている。

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