カルテル課徴金275億円でも「中部電力」会長vs.社長の「JERA」争奪戦 電気代高騰そっちのけ

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社長解任動議

 公正取引委員会は3月30日、電力3社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)で史上最高額となる課徴金納付命令を出した。その額は中国電力が707億円超、中部電力が子会社の中部電力ミライズと合わせて275億円超、九州電力が27億円超で、総額1000億円を上回るケタ外れなものだった。

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 2016年4月の電力小売りの全面自由化は、電力各社の収益悪化を招いた。価格競争が激化したためだ。そこで、関電が主導して中部電と中国電、九電の3社とカルテルを締結。エリアを越えての顧客獲得を制限する「相互不可侵協定」を結んだのである。

 ところが関電は、20年10月、公取委に違反を自主申告。この申告をきっかけに、21年4月には公取委が中国電、中部電、九電への立ち入り検査に乗り出した。M&Aアナリストによると、中部電では、この不祥事を理由に“お家騒動”が勃発していたという。

「勝野哲会長が林欣吾社長のクビを挿(す)げ替えようとしたのです。21年秋、社長解任動議を取締役会に提出し、子飼いで当時専務だった伊藤久徳副社長を後釜に据えようとした。カルテルが結ばれたとき、林社長が中部電の専務執行役兼“販売カンパニー”の社長だったからです」

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