岡本和真「バット八つ当たり」にMLB直訴の兆候 “原巨人”に嫌気で「流出不可避」の声

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WBCでMLBスカウトの評価を最も高めた打者

 巨人の岡本和真(26)が変わったともっぱらだ。昨季までは打っても打たなくても淡々とプレーする印象が強かった。しかし、今季は違う。さる巨人のスタッフが語る。

「凡打すれば悔しさを出すようになった。(今季から坂本勇人に代わる)新キャプテンになったからではなく、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場したことが大きかったのではないか。特に大谷(翔平=エンゼルス)が感情を前面に出し、チームを引っ張る姿には感銘を受け、岡本の野球観を変えるほどの経験になったようだ。(帰国後の記者会見での)『野球ってこんなに面白かったんだな思った』との言葉に全てが集約されていた」

 と同時に、ある懸念を抱いたという。「今の巨人での野球は面白くなく、閉塞感すら覚えるだろう。岡本には以前からメジャー志向があった。WBCで封印していた思いを抑えられなくなり、ポスティング移籍を球団に要望するのは時間の問題ではないか」とみている。

 4月6日のDeNA戦(横浜)、岡本は四回二死三塁の先制機で空振り三振を喫すると、バットをたたき付け、ヘルメットを放り投げた。

「凡打ではうつむき気味にベンチに帰るだけのことが多かった。これまでとは明らかに違っていたので驚いた。WBCの影響が多分にあると感じた」(同前)

 そのWBCでは準々決勝のイタリア戦で値千金の3ランを放った。決勝の米国戦ではソロ本塁打で貴重な追加点をたたき出した。

「WBCに出場した日本の打者の中では、MLBのスカウトの評価を最も高めた一人。メジャーで日本人内野手は多くが厚い壁にはね返されてきたが、岡本は(昨季まで2年連続ゴールデングラブ賞の)三塁守備だけではなく、外野もこなせる器用さがあることが強み。巨人がポスティング移籍を認めるようになったことも、スカウトが岡本に注目する背景にある」(米大手マネジメント会社の代理人)

 かつて巨人はNPBがMLBの下部組織に成り下がることを危惧し、自軍選手にポスティング移籍を認めてこなかった。2002年オフに松井秀喜がヤンキースに移籍したのもフリーエージェント(FA)によるものだった。

4番流出でも球団、ファンに抵抗感なし?

 だが時代は変わり、19年オフに山口俊(引退)に球団史上初めてポスティングを容認する。翌20年オフは、不成立に終わったものの、生え抜きとしては初めてのポスティング移籍をエースの菅野智之に認めた。

「ナベツネさんの影響力が低下し、原さんが全権を握ってからは甥っ子である菅野の地ならしの意味もあり、手始めに山口からポスティングを認めた。今後、岡本にポスティングを認めたとしても球団、ファンの抵抗感は同じ4番打者だった松井の時代とは全く違うものだろう。岡本は一昨年まで2年連続で本塁打と打点の2冠を獲得し、リーグ優勝も経験した。すぐにでもポスティング移籍を認められていい実績を残していると思う」(セ・リーグ編成担当者)

 岡本のメジャー志向は広く知られていた。12年にMLBで45年ぶりに三冠王に輝いたミゲル・カブレラ(タイガース)が憧れの選手だった。

 ただ、海外FA権の取得は最短でも27年オフ。その時は31歳になっている。海外FAを待てば、年齢的に好条件での契約を望めず、選手としての旬を逃すことにもなる。

 既に25歳を超えているため、大谷の渡米時のようにMLB球団との契約金に制限はかからない。前出の代理人も巨人の4番のポスティング移籍に大きな障害はないと指摘する。

「原監督は昨夏、不振の岡本を3年ぶりに4番から降格させ、代わりに中田(翔)を据えた。『聖域』と言った自身の現役時代に比べても、巨人の4番は重みがなくなっている。松井がヤンキースに移籍した時のように球界を超えてまで波紋を呼ぶことはないだろう」

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