中国の新兵器による撃墜の可能性は? 整備不良? 陸上自衛隊の「ヘリ消失」事故の原因に迫る

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2分のあいだに機体に何があったのか

 沖縄県・宮古島周辺で陸上自衛隊の隊員10名が乗ったヘリコプターが今月6日に消息を絶った事故。依然として10名は行方不明のままだが、果たして事故の原因はなんだったのか――。元陸将ら専門家の見解を聞いた。

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 今月6日午後3時46分、第8師団第8飛行隊所属の多用途ヘリ「UH60JA」が、沖縄・宮古島分屯基地を飛び立った。天候は晴れで、気温は約25度。上空には南の風7メートルが吹き、波の高さは1メートル。視界は10キロ以上先を見通せるほど良好だった。

 突然、惨事は起きた。離陸から10分後の3時56分、宮古空港の北西約18キロの空域でレーダーから機影が消失したのである。

「消失の2分前に、ヘリは下地島空港の管制と無線で交信していますが、その時異変はなかった。つまり、この2分のあいだに機体に何かが起こったということです」(防衛省担当記者)

 自衛隊の隊員に加えて、海上保安庁の職員らが伊良部島北側を中心に懸命の捜索を続けているが、発見されるのは破損した機体の一部ばかり。11日時点で搭乗員10名は依然、行方不明のままだ。

機械系統等に何らかの不具合が?

 事故の原因として「空間識失調説」「エンジントラブル説」「バードストライク説」などが取り沙汰されるが、陸幕調査第2課長や情報本部初代画像部長などを歴任した元陸将の福山隆氏は「すべての可能性を俎上に載せる必要がある」としたうえで、こう語る。

「外国勢力、特に中国からの攻撃の可能性は現時点ではゼロとは言えません。レーダーに感知されていない以上、ミサイル攻撃はないでしょうが、ドローンによる攻撃、あるいはなんらかの新兵器に撃墜された可能性は残ります。それに最近の陸自の重点的な南西諸島への兵力配備は中国から見れば、太平洋進出を邪魔する動きだったでしょう」

 そこに第8師団の幹部らを狙う動機があるというのだ。とはいえ、

「ただ、他国の領空で高級将校を攻撃するという行為は、もし証拠をつかまれると明白な侵略行為。そんな危険を冒してまで、陸自ヘリを撃墜するメリットが中国にあるのか。そう考えると、現状では『中国説』もほぼなさそうです」

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