藤浪晋太郎の「ノーコン病」を甘く見ていたアスレチックスの誤算 大谷との対決も思惑が外れマイナー落ちも

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「あれが大谷のライバルなのか?」

「ねえ、彼は本当にショーヘイ・オータニ(大谷翔平=28)のライバルだったの?」

 ファンからこんな感想が聞かれるほど、メジャーリーグ移籍後の第2戦も散々な結果だった。

 アスレチックスの藤浪晋太郎(29)が4月8日(日本時間9日) のレイズ戦に先発し、敗戦投手となった。4回3分の1を投げて被安打3、失点5、奪三振1。与えた四球は4 、デッドボールも1つ出している。

「この日も4回に突然崩れたんです。3回までは『四球1』でも、無失点でしっかり抑えていたのに…。大谷との対決が実現した前回登板(4月1日/現地時間)もそうでした。3イニング目に四球を出したと思ったら制球ミスが続き、3回途中8失点で降板となりました。本人は、データを取られたからだと言っていましたが…」(スポーツ紙記者)

 球場につめかけたファンは、冒頭に触れた「大谷の元ライバル」なる“事前紹介”への疑問だけではなく、「どうして、突然ダメになるのか?」と、首を傾げていた。日本のファンなら「またいつもの藤浪のノーコン病か」という感想だが、ピッチャーにとって致命的ともいえる重要な問題を、MLB関係者は事前に調査しなかったのか。

「メジャーリーグのどの球団にも言えますが、藤浪がポスティングシステムで米球界に挑戦する意向を明らかにしたとき、映像資料も少なく、駐日スカウトや現地契約したコーディネーターから挙がってくるデータもスポーツメディアが報じた範囲の内容でした。与四球の多いピッチャーであることは明白でしたが、駐日スカウトが挙げてくるレポートにはその原因や『修正は可能か否か』まで記されます。藤浪の代理人の言った『ノープロブレム』のセールストークをそのまま受け入れてしまったのでしょう」(米国人ライター)

 藤浪の制球難は今に始まったことではない。阪神時代から160キロ近い剛速球で三振を奪ったと思ったら、急にストライクが入らなくなり、四球連発で自滅していた。その失敗を何度も繰り返すため、精神面に原因のある「イップス」も疑われ、本人もそれを認める発言をしている。

 藤浪のイップスの原因は金本知憲監督時代、ふがいない投球から懲罰的な意味合いで161球も投げさせられた16年7月の広島戦。あるいは、自身の死球で乱闘になった17年4月のヤクルト戦が原因、とも言われてきた。

 16年シーズン以降、極度の「不振」に陥り、昨季まで阪神・矢野燿大監督下における4年間のほとんどをファームで過ごしている。メジャーの駐日スカウトも、二軍戦までは追い掛けていなかったのだろう。

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