山川穂高、WBCの「反動」でソフトバンク入りに“暗雲” 中田翔“幻の阪神移籍”の二の舞も

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WBCよりNPBでの好成績に照準

 山川は昨年12月の契約更改交渉では西武が提示した4年契約を拒否し、1億4000万円増の2億7000万円で今季は単年契約を結んだ。「野球人生の全てを懸けて臨む意味で絶対に単年の方がいい」と今季への強い思いを語った。

 WBCでは持ち味の右足を大きく上げる打撃フォームは変えなかったところにも、その決意が表れていた。

「投球にタメがない海外の投手相手に右足を上げると、タイミングが遅れるもの。メジャー移籍後、イチローが振り子打法を封印し、大谷(翔平=エンゼルス)はノーステップ打法に変えたのは、その最たる例。山川がWBC仕様のフォームにしなかったのは、あくまでNPBのシーズンで好成績を残そうとしていたからだと思う。もともとメジャー志向があるわけでもない。今年はWBCではなく、NPBに照準を絞っている証拠」(元監督)

 FA資格を満たすのはあと25日で、取得は確実だろう。水面下ではソフトバンク移籍が着々と進んでいるとみられる。

 昨年のオールスター戦前の打撃練習で選手間の会話を拾った動画には「アグー(山川の愛称)、ソフトバンクに行くらしいよ」などという音声が入り込んでいた。昨オフには山川と同学年の嶺井博希が4年総額3億円超の契約で、一足先にFAでのソフトバンク移籍を決めた。山川と嶺井は同じ沖縄出身で、大学時代から親交が深いことで知られる。

「山川のソフトバンク入りの“場”は温まっている。今年35歳になる柳田(悠岐)は全盛期を過ぎ、(日本ハムからFA移籍した)近藤(健介)はホームランバッターではない。山川はソフトバンクの補強ポイントに合致しており、早くも相思相愛の感がある」(セ・リーグの編成担当)

中田の不振で阪神はFA撤退

 ところが開幕早々、いばらの道を予感させるような故障に見舞われたのだ。しかも、ベテランに域に差しかかっていく選手には命取りになりかねない箇所である。

 同編成担当はこう懸念を示す。

「山川が胸を張ってソフトバンクに行くためには、昨季のような2冠まではいかなくても、ある程度、格好がつく成績を手土産にすることが求められるのだが……。完治して復帰できるか、たとえ復帰できても森が抜けている打線では、開幕直後と同様、また山川にマークが集中することになる。今の西武には“山賊打線”と呼ばれた頃の強打の面影はない。孤軍奮闘で成績残していくことは、そう簡単ではない」

 2017年オフ、日本ハムの中田翔(現巨人)はFAでの阪神移籍が既定路線と目されていた。当時の金本知憲監督とは親交もあった。

 しかし、結果は残留だった。同年の中田の成績が16本塁打、67打点と振るわなかったことで、阪神が20億円超の予算に見合わないとして獲得を見送ったのだった。結局、中田は21年途中まで日本ハムでプレーし、暴力事件を起こしたため巨人へ無償トレードで移籍したのは周知の通りだ。

 一寸先は闇のプロの世界。順当と思われた山川のソフトバンク移籍も一筋縄ではいかないようである。

デイリー新潮編集部

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