“奇跡のフォント”で小学生の正答率に差 開発者が語る「UDデジタル教科書体」の驚くべき効果とは

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正答率が上がる

 2016年にリリースされた「UDデジタル教科書体」は、教育現場を中心に大きな反響を呼んだ。

 2019年には、奈良県生駒市が全小中学校でUDフォントの導入を決めた。市とモリサワが共同で行った実験では、UDフォントが読み書きに困難を抱える子どもだけでなく、多くの子どもにとって読みやすいことが証明された。

「生駒市の小学生116名を対象に実験を行いました。短い文章を読んで、『ただしい』か『まちがい』かに丸を付ける問題36問を、一般的な教科書体とUDデジタル教科書体を比較して行ったところ、全問回答者が一般的な教科書体では4名、UDデジタル教科書体では30人に上りました。正答率についても、一般的な教科書体の66%に対して、UDデジタル教科書体は81%という結果になりました。読み書き障害のある子どもだけでなく、多くの人にとって読みやすい書体であるということが実験によって明らかになりました。正直、これほどまでの違いがあるとは思いませんでした」

 2017年には、「UDデジタル教科書体 R」(レギュラー)と「UDデジタル教科書体 B」(ボールド)がWindows10に搭載された。

「学校の先生がWordやPowerPointで教材を作るときに、UD書体を使ってもらいやすくなりました。最近では、スーパーの売り場やレストランのメニュー、入浴施設などの公共の場所の注意書きなどでも、UD書体が使われているのを目にすることが増えました。開発の背景を知らなくても、書体の親しみやすい雰囲気や読みやすさを気に入ってもらって、いろいろな所で使われているのだと思います」

「UD書体」は子どもだけでなく、大人にも効果的がありそうだ。

「TwitterでUD書体に関するツイートを調べていて、『いつも夕方くらいになったら目が疲れてくるけれど、UD書体にしたら疲れにくくて仕事が捗る』といったコメントを見つけました。人によって好みは違いますが、UD書体を試してみたら、読む速さや疲労感の軽減などの効果を感じることがあるかもしれません」

デイリー新潮編集部

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