「大阪桐蔭」はセンバツで優勝して当たり前!? プロ注目選手の実力と連覇への“不安要素”

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両親がスリランカ人の大型スラッガー

 このほか、投打で将来性が高い境亮陽、140キロ台中盤のスピードを誇る右腕の南陽人、両親がスリランカ人で、大砲候補のラマル・ギービン・ラタナヤケ。これらは、すでにスカウト陣がチェックしている2年生選手たちだ。

 境は運動能力が抜群で、中学時代に陸上100mでジュニアオリンピックに出場した経験がある。秋の明治神宮大会、クラーク記念国際戦で7番、センターとして先発出場すると、ホームランを含む4打数4安打の大活躍を見せた。

 身長173cmと投手としては小柄な南は、躍動感溢れるフォームが持ち味だ。秋の明治神宮大会決勝、広陵戦ではリリーフで2回を投げて2失点で降板したが、4奪三振を記録している。

 そして、ラマルは身長185cm、体重85kgの大型スラッガー。近畿大会の彦根総合戦で4番を任されて、2本のツーベースを含む3安打を放っている。彼らの存在は、上級生にも大きな刺激になっていることは間違いないだろう。

大きな課題は“守備”

 しかしながら、盤石に見える大阪桐蔭にも選抜連覇に向けて“不安要素”はある。特に、大きな課題は守備面だ。昨年、レギュラーだった選手は卒業し、全員が新しいメンバーに入れ替わっていることから、経験不足な感は否めない。大阪桐蔭は、昨年11月に行われた秋の明治神宮大会を制しているが、4試合で失策4を記録している。うち、2つが失点に直結するタイムリーエラーだった。

 西谷浩一監督も、秋の明治神宮大会の優勝インタビューで、「守備面の課題が多く出た大会で、細かいミスも多かった。これからまた鍛え直します」と守備面の課題について言及していた。

 これまでの大阪桐蔭は、昨年までレギュラーメンバーをほとんど固定して戦うスタイルだったが、秋の近畿大会と明治神宮大会ではスタメンが入れ替わることが多く、チームの完成度が“発展途上”である感は否めない。

 多くの野球ファンのなかには、昨年の選抜、秋の明治神宮大会の戦いぶりを見て、大阪桐蔭が“優勝して当たり前”という雰囲気が漂っている。だが、経験豊富な選手が少ない中で、さらに勝ち進むことは簡単ではない。西谷監督は常々「甲子園は足し算ではなく、掛け算で選手が成長する場所」と話しており、選抜連覇のためには、大会が始まってからの選手の成長が大きなカギとなりそうだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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