合言葉は「ゴーンを取り戻せ」 検察の五輪汚職事件の最終目的地

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特捜部の電撃捜査

 東京オリンピック・パラリンピックをめぐる汚職事件は、大会組織委員会元理事・高橋治之被告を受託収賄罪で4度起訴した特捜検察。一方で、組織委運営局の元次長らを独占禁止法違反で逮捕した。今後の捜査はどこへ向かうのか。その行方とレバノンに逃亡中のカルロス・ゴーン被告の奪還とが密接に絡んでいるという。

「東京地検特捜部が捜査を手掛ける以上、そして元特捜部長で東京地検次席検事の森本宏氏が実質的な捜査を担っていることから、高橋被告だけでは終わらない、大物政治家がターゲットになっているはずだとまことしやかに語られてきましたが、現状、政治家の検挙はなさそうな気配です」

 と、担当記者。

「一連の五輪関連業務を引き継いだ清算法人が3月に解散される予定で、“逃げ切り”できるのではないかと関係者の間では希望的観測が広がっていました。解散されてしまえばその後に事件を掘り起こすのは相当な困難が付きまとう。そんな中での逮捕だったので、特捜部にはまだ“隠し玉”があるのかということで、界隈は騒然となっていました」(同)

将来の総長候補・森本氏の人事

 森本氏は「将来の検事総長間違いなし」と評価されてきた。しかし、今年1月の法務検察人事では、森本氏の1期下の松下裕子法務省人権擁護局長が同省刑事局長に就いたことが物議を醸したことがあった。

「刑事局長は検事総長になる人物が経験すべきポストとされており、森本氏の出世街道に異変が起こったという見方もありましたが、そんなことはありません。彼の強引な手法への批判はつきまとうものの、フロッピーディスクのデータ改ざんなどで完全に失墜していた検察の信頼と権威を取り戻すきっかけを作った森本氏に対して法務検察は絶大な信頼を寄せている。総長コースとされる刑事局長や法務事務次官など通過することなく、そのまま“垂直に”出世して総長に就任する可能性もあります」(同)

 森本氏を法務省に異動させて政治家対応などを任せるより、捜査部門にステイさせることが、法務検察にとってメリットが大きいと判断されたと見ることもできる。

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