最速158キロ 「山下舜平大」も生みだした、オリックス“高卒育成プログラム”

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野茂氏からも“合格点”

 身長1メートル90、体重89キロの恵まれたサイズから投げ下ろすストレートだけではなく、落差の大きいカーブも魅力だ。さらには2月15日、清武キャンプ視察に訪れていた元メジャーリーガーで、オリックスの前身球団・近鉄OBの野茂英雄氏から「フォーク」を伝授された。

 メジャーを席巻したトルネードの指導を受け、山下がフォークを試投した直後の、まさにその1球目だった。ストンと落ちたその落差に、野茂氏が思わず山下に向かって右手の親指を差し出す「サムアップ」。即座に“合格点”を出したほどの器用さも兼ね備えている。

 実は、昨年の日本シリーズ初戦で左わき腹を痛めたエースの山本がその後、シリーズ中では登板回避となっていた。そのため、仮に8戦までもつれこむような展開になれば、山下の先発起用が検討されていたといい、実際に山下は日本シリーズにチーム帯同していた。

 もし、デビューが日本シリーズだったら、異例中の異例のことだった。そうやって山下も大事に、丁寧に、時間をかけて育て上げてきた。

「舜平大も、ものすごいいい体になってきたでしょ? ホント、まだどんどん大きくなるもんな」

 その成長が加速度を増していることには、福良GMも驚くほどだ。

 投手陣が充実している今だからこそ、その先を睨む。それが、常勝チームを作っていくために重要な“布石”でもある。

 そして、斉藤と日高のブルペン投球時にも見られたように、その育成の進捗状況を、現場の首脳陣とフロントが、きちんと共有している。

 オリックスの「強さ」の裏付けが、そこに見えた。

喜瀬雅則(きせ・まさのり)
1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)、「稼ぐ!プロ野球」(PHPビジネス新書)、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」(光文社新書)。

デイリー新潮編集部

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