マイナカード「落としても悪用されない」はうそ? 「セキュリティーがあまりにも脆弱」

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身元確認でマイナンバーを使用する必要がない?

「マイナンバーはヒトに付された番号で基本的には生涯不変。しかし、一つ目の身元確認の場合、必要なのはヒトに付された生涯不変の番号ではなく“券”すなわち証明書自体に付された“券面管理番号”です。カードを紛失して再発行した場合、この券面管理番号が更新されることで古いカードは失効される。事実、マイナンバーカードにも免許証やパスポートと同じく券面管理番号が振られており、身元証明書として使う限りマイナンバーが書かれている必要はありません」(同)

 では、二つ目の当人確認の場合はどうか。

「マイナンバーは“本人しか知らない秘密の番号”ではありませんから、当人確認のログインIDとして使用することは、あまり適切ではありません。そこで“カードを所持しているか”と“4桁の暗証番号を知っているか”で当人確認をすることにしたのです。マイナポータルにログインする際、カードをスマホやカードリーダーで読み取るのは、このためです」(同)

 つまり、身元確認も当人確認も、わざわざマイナンバーが記載されたカードを使用する必要はない。言い換えれば、マイナンバーとこの二つの本人確認に使用するカードとの間には何の関係もないのである。これは多くの国民にとって寝耳に水の話であろう。

カード盗難で簡単に突破

 それでも“複数の本人確認が1枚のカードで済むのなら、やはり便利ではないか”と思う人がいるかもしれない。ところが、そこには明確なリスクも存在する。

「印鑑を例に考えてみましょう。私たちは宅配便の受け取り程度であれば認印と呼ばれる三文判、銀行口座を使う場合は銀行印、不動産などの取引では印鑑登録をした実印、と場面によって印鑑を使い分けます。マイナンバーカードは、これを全て実印に統一しようと言っているのと同じです。日常的に実印を常時携行して使用するのはあまりに不用意でしょう」(同)

 河野氏は〈キャッシュカードと同様、暗証番号が必要〉〈紛失・盗難時には利用停止ができる〉〈暗証番号を一定回数以上間違えるとロックされる〉などの理由で“カードが悪用されることはない”と胸を張る。だが、

「マイナポータルへのログインにはマイナンバーカードと4桁の暗証番号しか求められません。暗証番号を書いたメモを一緒に持ち歩いていたり、誕生日など単純な暗証番号にしていたりすれば、カードを盗まれた場合に簡単に突破されてしまう」(同)

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