那須川天心のデビュー戦の“メイン問題”で思い出す「日本ボクシング史上最低の試合」

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日本ボクシング史上最低の試合

 遡ること31年前の1992年6月、ハリウッドの大スターが両国国技館でボクシングの試合を行った。

 男の名は、ミッキー・ローク。会場は彼目当ての若い女性でいっぱいだったという。第1ラウンド、ロークが招き猫のような珍妙なパンチを繰り出すと、相手は後方に派手にふっ飛び、そのままノックアウトと相成った。

 まさに記憶に残る試合だった。日本ボクシング史上最低の試合として。

「メインイベントだったこの試合の前座が、WBC世界フライ級でユーリ海老原(後に勇利アルバチャコフと改名し9度防衛)が初めて王座を獲得した試合でした。その年の国内年間最高試合に選ばれるほど素晴らしい一戦でしたが、それを観た感動が、次の試合の“猫パンチ”のせいで台無しになってしまった」

 ……という一件が今なおトラウマとしてファンの心に刻まれているというのだ。

「ボクシングとて興行なので、利益を重視するのは仕方ありません。ロシア人のユーリが大観衆を前に戦えたのも猫パンチのおかげですし、今回の大会もキックのファンにボクシングの魅力を伝える絶好の機会です。そもそも、天心が猫パンチみたいな醜態をさらすわけないんですけど……」

 試合順は最終調整中で、後日発表されるとのこと。勝つのは“封建主義”か、それとも“資本主義”か。

週刊新潮 2023年3月2日号掲載

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