ウクライナ侵攻に反対の声を上げないロシア国民の本音 「11年前の反政府デモでは新しいうねりを感じたが、今は……」

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政権打倒の動きは広がっていないのか?

 ウクライナ侵攻から1年が経過した今、当のロシア国民は日々、何を考えているのか――。“戦争”の行方だけでなく、国家の命運すら占うロシアの国民世論は、しかし、外国からその実態を窺い知ることは難しい。数少ない手がかりである“世論調査”をもとに、戦時下にあるロシア国民の素顔に迫ってみたい。(前・後編のうち「後編」)【佐々木正明/ジャーナリスト、大和大学教授】

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 昨年の侵攻開始直後、ロシア国営放送の生放送中に、職員のマリーナ・オフシャンニコワさんが「戦争反対」のプラカードを掲げ、大きな物議を醸した。

 その後、約3万円の罰金が言い渡されたオフシャンニコワさんは、政権への抗議姿勢の態度を変えず、昨年7月にはクレムリン周辺で行われた集会に参加し、プーチン大統領を「人殺し」とするプラカードを掲げて戦争の中止を訴えた。

 露捜査当局は7月の事案について「故意に虚偽の情報を広めた」と起訴。最高で10年の懲役刑となる可能性が出てきたため、オフシャンニコワさんは密かに出国する意志を固め、今年2月までに政治亡命を果たした。

 このニュースが大きく報じられたが、ロシアにはオフシャンニコワさんのような勇気ある行動を取る者は他にいるのか? 侵攻当初に起こり、盛んに報じられた抗議運動は一体、どうなってしまったのかという疑問が頭をもたげる。

 事実として、ロシアでは捜査当局の取り締まりが強化されており、街頭での反戦・反プーチンのデモ行為は抑圧されている状況にある。

 世論調査の結果がこの状況を映し出している。

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