1日大さじ2杯のお酢で驚異の健康効果が! 高血圧、糖尿病を劇的予防、飲むだけで運動と同じ効果?

ドクター新潮 ライフ

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骨粗鬆症や疲労回復にも

 結果は、お酢を含む飲料を飲んだ二つのグループは、お酢を含まない飲料を飲んだグループと比べて、体重・内臓脂肪面積・BMI・ウエスト・血清中性脂肪値がいずれも低下していました。しかも体重については毎日30ミリリットルのお酢を摂取したグループで平均約2キロ、15ミリリットルのグループで1.2キロの減少と、お酢を多く飲んだ方が高い効果が認められたのです。脂肪面積の減少という点でも同様の傾向が見られ、より多くのお酢を飲むことで肥満予防の効果が期待できることが科学的に裏付けられた格好です。

 ただ、体重の減少幅には個人差がありますし、検証結果もあくまで肥満の人を対象にしたもの。従って、健康体の人が単にダイエット目的で大量のお酢を飲んでも、期待するような効果は得られないのではないかと思います。それにお酢には食欲を増進させる効果もありますから、その点も注意した方がいいでしょう。肥満予防のためにお酢を使って、かえって食事量が増えてしまった、では元も子もありませんからね。

 さて、さきほど酢酸はAMPキナーゼを活性化させるという話をしましたが、これにより改善されるのは肥満だけではありません。AMPキナーゼが活性化すると、空腹時血糖の低下や食後の血糖値上昇の抑制につながり、糖尿病を予防することが期待できるのです。また、コレステロールの合成も抑制されることから、脂質異常症の予防にも貢献してくれます。

 糖尿病対策としては、最近の論文でも、1日20ミリリットルの食酢を8週間飲み続けたところ空腹時血糖が有意に低下したという結果が報告されていました。

 この他、お酢には体内でカルシウムの吸収や骨形成を促進する働きがあることが分かっており、毎日一定量を摂取することで骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防にも有効だと考えられます。

 また、お酢は体内の重要なエネルギー源であるグリコーゲンを急速補充する効果ももっているため、疲労回復も助けてくれる。スポーツや仕事、勉強などの合間にお酢を糖と一緒に取ることで、減少したグリコーゲンが早く回復し、再びパフォーマンスを向上させることができるのです。

〈生活習慣病だけでなくカルシウム摂取や疲労回復にも力を発揮するお酢。食品としては十分すぎる健康効果だが、気になるのは必要な摂取量や摂取方法である。〉

 これまでに紹介した健康効果を得たいのであれば、1日あたり1500ミリグラム程度の酢酸を継続して摂取する必要があるでしょう。これは市販のリンゴ酢であれば30ミリリットル程度、穀物酢であれば40ミリリットル程度で摂取できる分量になります。

 お酢が健康食品として意義深いのは、このように大さじ2杯程度という同一の分量で高血圧から肥満、糖尿病、脂質異常症といった異なる疾患の予防・改善効果が得られるという点にあります。ただ、大さじ2杯程度といっても、そのまま摂取するのは酸味が強すぎて到底無理。半量の15ミリリットルをジュースなど他の飲料に混ぜて、残り半分を料理から、というのが現実的です。料理に使用するのは穀物酢で構いませんが、他の飲料に混ぜる場合は香りが良いリンゴ酢が飲みやすいと思います。

組み合わせる飲料は?

 お酢と組み合わせる飲料に特に制限はありませんが、ジュースやスポーツドリンク、飲むヨーグルトなどに混ぜると飲みやすいでしょう。甘味や苦味にはお酢の酸味を抑制する作用があり、例えばコップ1杯(200ミリリットル程度)の飲料に7.5ミリリットルのお酢を混ぜる程度では酸っぱさはさほど感じません。これを朝と夜に飲めば合計15ミリリットルのお酢を摂取することができます。

 ジュースと混ぜるのであれば、グレープフルーツなど柑橘系の果汁との組み合わせが特におすすめ。柑橘系の酸っぱさはクエン酸に由来するのですが、クエン酸にも酢酸の酸味を弱める作用があるのです。グレープフルーツジュースには甘味や苦味もありますから、お酢の酸味はほとんどかき消され、むしろ味が濃く感じられておいしさが増すんです。

 それからヨーグルトなどに含まれる乳酸も酢酸の酸味を抑制するため、飲むヨーグルトやカルピスに混ぜるのもいい。夏場であればポカリスエットなどのスポーツドリンクに混ぜて飲むのもおすすめです。もちろん、お酢を水で割って蜂蜜を加えるなどお手製のお酢ドリンクにして飲むのもいいでしょう。

 近年は各メーカーがお酢を飲みやすく加工した“飲用酢”を販売していますから、経済的に余裕があるならそれを利用するのも一つです。注意点は、商品によって含まれる酢酸の量が大きく異なること。分析したところ、飲みやすいストレートタイプだと1日に400~800ミリリットル飲まないと、お酢15ミリリットル分を摂取できないものもありました。お酢の含有量などの表示をよく見る必要があり、表示がない商品はメーカーに問い合わせてみてもいいでしょう。

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