中国の気球の目的は「台湾侵攻」に向けたプロジェクトの一環だったか 偵察対象には沖縄も

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無害かスパイそのものか?

 米国が中国の偵察用だと断定し、撃墜した気球。これをめぐって、「それほど有害なものではない」「いやいや、スパイ活動そのもの」などと、様々な指摘があるが、その実体・目的は「台湾侵攻」に向けたプロジェクトの一環だったと米国は見ているのだという。

 まずは気球の足取りを確認しておこう。中国南部・海南島で打ち上げられた後、東に進路を取ったが、そこから北に向きを変え、アラスカからカナダ本土を経て、その後に米本土に到達したとされる。

「もともと気球はグアムやハワイの米軍施設を監視する狙いだったものの、想定外の強風にあおられ、米国本土まで来てしまったとの見方を米政府側は強めている印象がありますね」

 と、外信担当のデスク。気球の本土到達は“事故”に近いというわけだ。

「“自爆装置を備えていたが作動しなかった”との報道もありましたが、単なる研究やそれほど有害なものではないとするなら、そもそも自爆装置を備える必要はないと言えます。ミステリーですね」(同)

中国人民解放軍の管轄

 気球のスペックについては、「小型ジェット機ほどの大きさで、ソーラーパネルや各種アンテナ、光学センサーやカメラ、当然、衛星通信機能を備えているようです」とのこと。

 中国政府は「気象などの科学研究のため」と説明しているが、それを信じている人は世の中には少ない。

 ならば、気球の実体はどういったものなのだろうか?

「中国人民解放軍の戦略支援部隊が管轄してきたと聞いています。開発は中国国防科学技術大学などの軍需系の学術組織が、製造はロケット関連の軍需企業・中国航天科技集団が担ったとの情報があります。これを踏まえれば軍事偵察気球そのものと言えるでしょう」(同)

 中国人民解放軍の戦略支援部隊は2015年に創設された、今をときめく組織なのだとか。

「主としてサイバー空間や宇宙を舞台にした紛争で勝利するために作られた組織だとされています」(同)

 そう聞くと軍事色が一気に強まる感じがする。では、気球の目的はどういったものなのか?

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