「NO JAPAN」運動、ユニクロ配送拒否にも関与… 韓国でいま炙り出される「北朝鮮スパイの闇」

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 文在寅(ムン・ジェイン)政権から尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権に移り、前政権を支えた団体への捜査が本格化している。

 目下、韓国のマスコミを賑わせているのは「北朝鮮のスパイ」捜査だ。やり玉にあがっているのは、民主労総(全国民主労働組合総連盟)という団体で、幹部が北朝鮮の工作員とカンボジアやベトナムで接触し韓国を親北・親中・反日国家へ向かわせようとした疑惑ほか、国内の選挙および世論を操作しようとした疑いがもたれている。これらの時期は文在寅氏の任期5年間に集中しており、「韓国のCIA」と呼ばれる国情院(国家情報院)と警察は合同で捜査に乗り出している。

 民主労総は、組合員113万人以上を抱える韓国最大の労働組合である。目的は労働者の権益向上だが、賃上げと労働時間の短縮要求といった本来の主旨から大きく逸脱し、組合員を優先的に採用するよう企業に圧力をかけたり、団体の要職を世襲させようとしたりと「貴族労組」という批判を受けていた。

 ストライキを日常的に主導し、光化門(クァンファムン)近隣で大規模なデモを行うなど、過激な行動も目立った。ストを止め業務に復帰しようとする労働者や非労組員に圧力をかけることも多かった。

日本製品の配送を拒否

 民主労総は、左翼的な政治理念が近い文在寅政権と、当時与党だった「共に民主党」から積極的な支持を受けてきた。慰安婦と徴用工問題では日本政府を非難してきた民主労総は、政権と歩調を合わせて「NO JAPAN」という反日キャンペーンを積極的に展開していたことでも知られる。大型スーパーで日本の商品の販売を中止するデモを全国的に敢行したり、傘下の宅配労組では輸送車両に「NO JAPAN」のステッカーを貼り、ユニクロなど日本製品の配送を拒否したりもした。

 民主労総の蔚山(ウルサン)本部では、「日本企業は徴用工被害者に賠償せよ」「過去の歴史に対する謝罪もなく、政治的にも経済的にも韓国を敬遠する日本とは、軍事情報保護協定を廃棄せよ」といった日本政府を糾弾する署名を会員8万人分あつめ、日本大使館に提出したこともある。

 スパイ疑惑が取り沙汰される以前から、民主労総は北朝鮮に対して寛大な立場で、さまざまな親北活動を続けてきた。北朝鮮を擁護する内容の声明を発表し、「朝鮮半島の平和と自主統一」を要求するデモを敢行したり……。2019年2月には南北交流を理由に、寄付金の横領疑惑で問題になった日本軍慰安婦団体「正義記憶連帯」と一緒に北朝鮮も訪れている。

 国情院と警察の捜査や調査によって、民主労総の中核メンバーが北朝鮮の工作員と会い、韓国内で反政府団体を設立しようとした疑惑も浮上している。北朝鮮が民主労総の幹部を抱き込むために、次官補級のベテラン工作員を投入したというニュースも出ている。

 民主労総はこれらの情報は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の謀略だと主張しているが、次々と有力な証拠が発見されていて、窮地に追い込まれている。

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