日本の高齢化と人口減少が「コンビニ」に変化をもたらすワケ

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 身近にあるコンビニエンスストアは、最もわれわれの生活を色濃く反映する小売店といえる。2022年12月末時点での店舗数は5万5838店(日本フランチャイズチェーン協会調べ)だが、新規出店数や売上は鈍化しつつある。そんなコンビニの未来像を経済アナリストの馬渕磨理子氏とマーケティングアナリストの渡辺広明氏が論じた。(※本稿は『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです)

「若者の店」から「高齢者の店」に

渡辺広明(以下、渡辺): 日本のコンビニは「社会の縮図」と言っても過言ではなく、人口とも大きな関わりがあります。たとえば、高齢化の波はコンビニの客層分布にも反映されていて、セブン-イレブンが公表している来店客の年齢分布は次の通りです。

(※各項左から1999年、2009年、2019年の割合)
【20歳未満】  17%   10%   7%
【20~29歳】 36%   22%   17%
【30~39歳】 19%   23%   17%
【40~49歳】 12%   17%   23%
【50歳以上】  16%   28%   37%

馬渕磨理子(以下、馬渕): 1999年は10代・20代が圧倒的でしたが、2009年には50歳以上の来店客が最も多くなってるんですね。

渡辺: そうなんです。90年代は「若者の店」というイメージが強かったコンビニですが、いまや完全に中年・老年がメインターゲットなんです。高齢者がコンビニに足を運ぶようになったのは、単純に高齢者の数が増えたからだけではありません。国土交通省の調査によると、高齢者が休憩せずに歩ける歩行継続距離は500~700メートルだそうです。生活圏が狭まったとき、スーパーとコンビニのどちらが利用しやすいかというと、当然店舗数で上回るコンビニなんですよ(コンビニは全国約5万6000店舗、スーパーは全国約2万2000店舗)。客層の変化とともに、コンビニの商品も変化しました。単身世帯や高齢者に向けて、1~2人前の小分けの惣菜が増えたり、健康を意識したメニューが増えているんです。

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