「LGBT見るのも嫌」で更迭された荒井秘書官 SNS上は毎日新聞“禁断のオフレコ破り”に賛否

国内 政治

  • ブックマーク

Advertisement

“オフレコ破り”の是非

 荒井氏は他にも「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」などと発言した。言語道断の暴論であることは言うまでもない。

 一方、更迭劇の発端は毎日新聞のスクープ報道だったが、その報道姿勢を巡ってネット上では議論が起きている。なぜなら、毎日新聞は“オフレコ破り”を行ったからだ。

「荒井氏が記者団の取材に応じたのは2月3日の夜、場所は首相官邸でオフレコ(オフ・ザ・レコード)が前提でした。その場には約10人の記者がいたことが分かっています。問題発言について記者から報告を受けた毎日新聞の上層部は、協議の末、荒井氏に『実名で報道する』と通告し、3日の午後10時57分、『首相秘書官、性的少数者や同性婚巡り差別発言』との記事を電子版で配信しました。このようにオフレコの約束を破って実名で報じることを“オフレコ破り”と呼びます」(同・記者)

 オフレコ破りは報道倫理の観点から許されるのか──冒頭で紹介した東京新聞の記事は、SNSでの議論を紹介することでその疑問に答えている。

「記事は『SNSではオフレコ破りを疑問視する投稿もあったが、擁護する意見もあった』と、新聞らしい両論併記ではあります。とはいえ全体のトーンは、オフレコ破りを『擁護する意見』に力点が置かれていたのは明らかでした。東京新聞は毎日新聞の報道を評価する文脈で記事を掲載したのでしょう」(同・記者)

知る権利を優先?

 オフレコであればどんな発言でも許されるわけではない。おまけに荒井氏の発言内容は極めて問題が多い。約束の遵守より、国民の「知る権利」のほうが優先される──という考えだ。

「民放キー局のワイドショーでは、『荒井氏がスピーチライターを務めていたことが大きい』と指摘する識者もいました。政権の情報発信を担うスタッフが、醜悪としか言いようのない人権感覚の持ち主だったわけです。この重要な事実を報道するためには、オフレコ破りも許されるという意見です」(同・記者)

 だが、実際にSNSを見てみると、オフレコ破りに疑問を呈する投稿もかなりの数にのぼる。

 Twitterで「毎日 オフレコ」という単語で検索をかけると、毎日新聞を批判するツイートの数も多い。批判と擁護で賛否両論というのが正確だろう。批判するツイートの中から3例だけご紹介しよう。

《どんな理由があってもオフレコの合意を一方的に破っていいわけがない。毎日は二度と取材源の秘匿とか抜かすなよ》

《「オフレコを前提とした・・」のに毎日は記事にしちゃったのね。取材する側を信用してもらえなくなるな》

《毎日の記者が居るところでは、いっさいオフレコの記者レクが出来なくなりましたね。ほんま、これ、誰得やねん?と思いますわ》

次ページ:オフレコの種類

前へ 1 2 3 4 次へ

[2/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。