16万人の「脳MRI画像」を見てきた専門家が解説 脱「三日坊主」を可能にするトレーニング術とは

ドクター新潮 ライフ

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 現在、がんを抜いて「最もなりたくない病気」となっている認知症。16万人の脳MRI画像を見てきた東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授が、脳の健康を生涯保つための「鍛え方」を教えてくれた。

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 認知症の特徴のひとつである脳の萎縮。これは加齢によっても起こりますが、しかし、それに伴って脳の機能も低下していく一方かといえば、実はそうではありません。近年、英科学誌「ネイチャー」に掲載された研究報告等によって、脳には可塑性(かそせい)があることが分かってきています。何歳であろうと脳の機能を高めることが可能なだけでなく、海馬においては神経細胞そのものが新しく生まれ変わることが明らかになったのです。

 従って、脳に好影響を与える生活習慣やトレーニングを取り入れれば、いくつになっても新たに記憶し、知識を蓄えていくこと、すなわち「生涯健康脳」の実現が可能なのです。

 それでは、脳の健康はどうすれば保てるのでしょうか。

身なりがしっかりしている高齢者は脳の萎縮が少ない?

 まず、これまで16万人の脳のMRI画像を見てきた私の経験から言うと、「見た目」がとても重要です。

 身なりがしっかりしている高齢者ほど脳の萎縮が少なく、対照的に、例えば古びたジャージを着ていてもあまり気にされないような高齢者は萎縮が進んでいる場合が多い印象があります。

 脳機能がしっかりしている方は社会と関わる機会が増えるため、必然的に服装や身だしなみを気にする。他人からどう見られるかに気を配る結果、その分、頭を働かせるので脳が健康に保たれる。服装に気を使っていない方はその逆です。つまり、脳と見た目は相互に影響し合っているのです。

 ですから、見た目も意識するのがいいと思います。その上で脳の健康を保つのに有効なトレーニング法を紹介したいと思います。それは「スモールステップ法」です。

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