このご時世にワイン、米はなぜ値上がりしない? 今後値上がりする時期はいつか

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 円安が収まってきたというのに値上げラッシュが止まらない。昨年11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.8%と、ここ数年にない上昇となったが、今年も7千品目超の値上げが予定されているという。ところが、CPIに採用されている約600品目のなかには値上がりしていないものもある。たとえば輸入ワインだ。それによると、昨年11月時点で輸入ワインの値段は前年同月比で1.8ポイント下がっており、2020年と比較しても安い。

 そこで、洋酒輸入業者の団体・日本洋酒輸入協会に聞いてみた。

「現在、店頭に並んでいる輸入ワインは3~4カ月前に仕入れたものです。物価が本格的に上がる直前で、昨年7月~9月ごろの買い付けになる。ワインの輸入業者は中小企業や個人商店が多く、小売店やレストランに値上げを求めるのは大体年に2回。4月と10月の棚卸しの時期なのです。ですから今売られているワインは、値上げのタイミングを逸してしまったのでしょう。ご存じのように、輸入ワインは円安やワイナリーの人手不足などで値下がりする要素はありません。おそらく春以降、多くの業者さんが値上げしてくると思います」(広報担当者)

なぜ米が値下がり?

 さらに探すと「餅」も値上げしていない。昨年11月まで3カ月連続の下落で、20年との比較では0.9ポイントしか上がっていない。「サトウの切り餅」で知られるサトウ食品(新潟市)に尋ねてみる。

「たしかに当社でも燃料など加工のためのコストは上昇しています。しかし、餅を作るための原料米が値下がりしていることから、他のコストをカバーしている。それもあって当面価格を上げる予定はありません」

 調べてみると、たしかに穀物のなかで米は値上がりしていない。コシヒカリを例にとると3年前から約5ポイントも下がっている。小麦や大豆のほとんどが輸入に頼っているのと違って米は国産だからなのか。そこで全農にワケを尋ねた。

「日本の米の生産量は年間700万トン弱ですが、ここしばらくは毎年10万トンのペースで消費が落ちていました。毎年約1.5%の需要減ですね。原因は、少子化や一般家庭でお米を炊かなくなったことがありますが、コロナ禍でさらに外食需要が減り、20年は消費が20万トンも減ってしまった。それ以来、米の消費は回復していません」(広報担当者)

 需要が減って、米が余っているということである。それでも、パンが高ければ米を食べればいい、というわけにはいかないらしい。

週刊新潮 2023年1月19日号掲載