警官、自衛官のなり手がいない! 2744集落が消滅! 少子化に打つ手なし「ディストピア日本」の未来図

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外需依存度の低い国ゆえに…

 現在の政策で圧倒的に足りないのは、人口減少への備えのほうである。喫緊の課題であるにもかかわらず、政府や国会が少子化対策ばかりに力点を置いてきたため、ほとんど手つかずできた。

 まず取り組むべきは、人口減少によって何が起きるかを正しく理解することである。人口減少社会の未来図をしっかり把握しなければ、人口が減っても経済を発展させ、社会を維持し得る方策を考えることはできない。

 人口減少は日本社会をどう変質させていこうというのか。本稿はその一端を展望することにする。まずは経済に与える影響だ。即座に思い浮かぶのは、国内マーケットの縮小や勤労世代(20~64歳)の減少だ。

 日本は外需依存度の低い国である。一般社団法人日本貿易会の「日本貿易の現状2022」によれば、20年の貿易依存度(GDPに対する輸出入額の割合)のうち輸出財は12.7%だ。コロナ禍前の11~19年を見ても12~14%台で推移してきた。20年のドイツは35.9%、イタリアは26.3%なので、日本はかなり低い。すなわち、国内マーケットの縮小が経営の打撃となる企業が多いということである。

「ダブルの縮小」

 しかも、国内マーケットの縮小というのは単に実人口が減少するだけでは済まない。高齢化率は伸び続けており30年代半ばまでに消費者の3人に1人が高齢者となるが、高齢になると現役時代のようには収入が得られなくなるというのが一般的だ。

 一方で「人生100年時代」と言われるほどに寿命が延びたこともあって、今後の医療費や介護費がいくらかかるのか見当がつかず、節約に走りがちだ。収入の低下と老後生活の不安で財布のひもが固くなっているのである。

 そうでなくとも、加齢に伴って食べる量が減り、住宅などの「大きな買い物」をする人は少なくなる。今後の国内マーケットは、実人口が減ると同時に1人あたりの消費額が縮小する「ダブルの縮小」に見舞われるのである。

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