ドラフト4位入団の“小柄”な右腕「山本由伸」は、なぜ「日本のエース」になれたのか オリックスのスカウトが見抜いた“日の丸を背負える才能”

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日本を代表するピッチャーに

 ではなぜ、オリックスは指名できたのか。強く推し続けた山口が説明する。

「骨格です。177cm(高校当時)はプロのピッチャーの中では平均より少し低いくらいの身長だと思うけれど、骨格がしっかりしていたので、身長に関してはあまり気にしていなかったです」

 骨格は言わば、身体の支柱だ。骨の周りに筋肉は発達していく。身体の中にしっかりした土台があれば、バランスよく成長していけるはずだと山口は見通した。

「最終的には球団の看板を背負える選手になるのはもちろん、日の丸を背負って日本を代表するピッチャーになってもらいたい」

 山口は最初の指名挨拶に訪れた際、最大の表現で期待を表した。オリックスのユニフォームに袖を通した山本は入団1年目に一軍デビューを飾り、球団の育成計画をはるかに上回るスピードで応えていく。

 もともと備えた「メイクアップ」と「骨格」という才能が飛躍の土台になった一方、球団にとって思いもよらない出会いが山本を大きく変えることになった。(敬称略)

以下、第2回に続く

中島大輔
1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年からセルティックの中村俊輔を4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。2023年2月に新刊『山本由伸 常識を変える投球術』(新潮新書)を発売予定。

デイリー新潮編集部

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