不可解判定で世界戦が大炎上 それでも「亀田興毅」が興行プロデュースに奔走する理由

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“浪速乃闘拳”と呼ばれた現役時代、ファンもアンチも巻き込んで大いにボクシング界を盛り上げた亀田興毅氏。そんな彼がプロデュースするボクシングイベントが波紋を呼んでいる。1月6日にエディオンアリーナ大阪で開催された「3150FIGHT vol.4」では、世界戦2試合を含む全11試合が行われたが、とりわけボクシングファンの注目を集めたのは、IBF王者ダニエル・バラダレス(メキシコ)と重岡銀次朗(ワタナベジム)の世界タイトルマッチだった。だが、この一戦は予想外の結末を迎え、会場は怒号に包まれた。試合後も様々な意見が飛び交うなか、イベントを主催する「3150FIGHT」のファウンダー・亀田氏はいま、何を思うのか。本人が胸中を明かした――。

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 重岡はプロ、アマ通じて“人生無敗”の勇名を馳せる23歳のボクシング界の超新星だ。実際、兄・優大との兄弟対決を避けるため棄権した試合を除くと戦績は全勝。今回、ついに初めての世界に挑むこととなった。しかし、その試合で波乱が起きる。バラダレスに対して優位に試合を進めていた重岡だったが、3ラウンドの途中で、バラダレスの頭部が重岡のアゴを直撃。痛みアピールするバラダレスは試合の続行不能を訴え続け、ついにIBFの規定によりノーコンテスト(無効試合)となったのだ。場内は騒然とした雰囲気に包まれ、コーナーポストを背に座り込んだ重岡は、タオルで顔を覆いながら悔し涙を流した。

 亀田氏はこの結果をどう捉えているのか。

「大会をプロモートする立場なので、どちらかに肩入れすることはできませんが、あの判定には疑問が残ります。バッティングが故意か過失かはともかく、直前に銀次朗の右フックがバラダレスの左側頭部を捉えていた。バラダレスは“耳が聞こえなくなって、めまいがする”と訴えていたので、おそらくパンチの衝撃で鼓膜が破れたんだと思うんですよ。しかも、銀次朗が繰り出したボディへのパンチも効いていました。本来であれば、無効試合ではなく、王者側の棄権で銀次朗のTKO勝ちだと思います。そうした点について、IBFにもきちんと抗議の申し入れをしています」

 一方で、重岡の悔し涙には、亀田氏も思うところがあるようだ。

「ええ、やっぱり可哀想でしたね……。亀田三兄弟と同じく、重岡兄弟も小さなころから父親に鍛えられながら世界王者を目指してきた。しかも、うちの親父の練習方法を真似ていたようで、それこそ親父が考案した、次々に飛んでくるピン球(ピンポン玉)を避けて、動体視力や反射神経を養うトレーニングもしていたと聞きます。境遇が似ているだけに、あの涙の理由も痛いほどよく分かるんです。家族や周囲の人たちの大きな期待を背負って、“絶対にチャンピオンになってやる”と命懸けでボクシングだけに打ち込んで、ようやく辿り着いた初めての世界タイトルマッチ。それがあんな結果になってしまったわけですから。次の『3150FIGHT』は4月16日に東京・代々木体育館で開催しますが、何としても銀次朗にはバラダレスと再戦させたい。そこはプロモーターとしての意地もあります」

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