沢村拓一“巨人復帰”現実味も「二の足」のワケ MLB執着の陰に“微妙な関係”の二人

スポーツ 野球

  • ブックマーク

Advertisement

巨人復帰に機は熟しているのだが……

 その年のオフには海外フリーエージェント(FA)権を取得。ロッテからは4年総額10億円の好条件で慰留されながらも、2年総額300万ドル(約3億2000万円、レートは当時)でレッドソックスに移籍した。

「巨人で先輩だった上原(浩治)がアドバイスした影響が大きかった。上原のレッドソックス時代と同じ背番号19をつけ、渡米後も頻繁に助言を仰いでいた。巨人に安住せず最高峰の舞台に挑んでいった上原とは重なるところがある。巨人の主力では異色と言える存在で、馴染み切れなかったのはよく分かる」(同)

 レッドソックスでは巨人で許されない長髪にヒゲをたくわえ、1年目の21年のシーズンから奮闘した。リリーフ陣の一角に定着し、55試合で5勝1敗、防御率3.06。わずか1シーズン前に3軍で調整していた右腕の復活劇として脚光を浴びた。

 昨季も49試合に登板した。だが、終盤に不振に陥ったことで、低迷を極め、再建モードに入ったチームで戦力外になった。

「バーランダー(メッツ)クラスの超一流の先発投手ならともかく、メジャーでは高齢のリリーフ投手への評価はシビア。まだ28歳で若い藤浪(晋太郎)のように可能性を見てもらえるわけではない。招待選手としてメジャーキャンプに参加し、メジャー契約を勝ち取れる可能性があるとはいえ、金銭面だけ考えると、NPB球団の方がはるかに有利だろう。巨人復帰へ、機は熟しているように見える」(米大手マネジメント会社の代理人)

FA選手に元在籍選手までもが敬遠

 巨人は昨季、チーム防御率がリーグ最悪の3.69に終わった。ともに獲得を調査していた阪神の西勇輝投手はFA宣言せず、有原航平投手はソフトバンク入り。オフの補強はままならず、覇権を奪回するには甚だ心もとない投手陣の顔触れだ。先発もリリーフもこなせる沢村は補強ポイントにピタリと合致するのだが……。

 前出の元監督はこう明かす。

「沢村は巨人復帰に前向きになれていないようだ。原監督に対しては再び、自分の意に反する起用や処遇を受けるのではないかとの危惧がある。阿部は今季からヘッド兼バッテリーコーチで、沢村が戻ればもろに管轄に入る。12年の(日本ハムとの)日本シリーズでは沢村が(捕手だった)阿部のサインを見落とし、マウンド上で頭をはたかれるという屈辱的な公開説教を受けている。沢村は次のチームでの契約が現役最後になるかもしれない。頭が上がらない二人が現監督と次期監督候補では、隙を見せれば直ちに引導を渡されることになるだろう。復帰に慎重になるのは致し方ない」

 かつて原監督と同じ神奈川・東海大相模高校出身でドラフト1位入団した大田泰示外野手(DeNA)は巨人で芽が出ず、トレード移籍した日本ハムで才能を開花させた。

「大田は日本ハムの自由な環境は『最高』と言っていた。『もう巨人には戻りたくない』とも。ノンテンダーFAになった昨オフに移籍先にDeNAを選んだのは、うちと同様に巨人のような閉塞感がないことが大きかったようだ」(日本ハム関係者)

 他球団のFA選手だけではなく、元在籍選手までもが敬遠する巨人。日米のキャンプインが間近に迫っている中、沢村が下す決断は――。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。