「人と暮らせない」「食事も料理も嫌い」 女優・吉行和子が明かす「おひとりさま生活」の楽しみ方

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 超高齢社会である日本で、もはや当たり前となっている「おひとりさま」という生き方。人と暮らすのが苦手で、30代で離婚して以降ひとり暮らしを続ける女優の吉行和子が語った日々の楽しみ、そして「老い」との折り合いのつけ方とは――。

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 確かに私はひとりで生きていますけど、私の「ひとり」ってそんな大げさなものではないんですよ。ここまで“偶然”や“仕方なく”が重なって、87歳になった今でもひとりで暮らしているだけで。でも、思い返してみれば、それが必然だった気もするわね。

 私の「ひとり」が決定的となったのは28歳のとき。人並みに結婚くらいしておかなくちゃと思っていたところ、所属していた劇団に、たまたま私に結婚を申し込んでくださった人がいて。そのまま入籍して共同生活を始めたんです。でも……。

 ダメだった。家の中に人がいることに耐えられなくて、毎晩、家に帰る前に喫茶店に立ち寄って珈琲を1杯。よし、帰るぞって気合を入れ直さないと帰れなくなってしまったの。相手には何の非もなくて、完全に私の性格が原因。結局、結婚生活は4年で終わり、以降ずっとひとり暮らしで、家に友人を招くことすらありません。

「家族がいて楽しいって感覚がない」

 よく、ひとりだと食事をするときに寂しくないですか?って聞かれるんですけれど、こんな性格だし、私の場合、もともと周りに人がいなかったのも大きく影響しているんでしょう。

 父は私が4歳の頃に亡くなっていますし、美容師だった母は早朝から仕事にかかり切りで、子どもに構っている暇なんてなかった。そんなふうだから、家族で食事を取ったことなんて数えるくらいで、私には家族がいて楽しいって感覚がないんです。家庭を持っている人は子どもが自立していったり、配偶者に先立たれてしまったりと、楽しかったことがだんだんなくなっていくと寂しさを感じるんでしょうが、それがないからひとりであることのダメージも全くない。

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