今年も混迷続くゴルフ界…「PGAツアー」VS「リブゴルフ」それぞれに残る大きな問題

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フランチャイズ化はどうなる

 首を傾げさせられる状況はリブゴルフにも多々見られる。

 オーガスタ・ナショナルがリブゴルフ選手のマスターズへの出場を認め、フィル・ミケルソンやダスティン・ジョンソン 、ブライソン・デシャンボー らが今年4月、オーガスタ・ナショナルに勢揃いすることは、ゴルフファンにとっても朗報だった。

 しかし、リブゴルフそのものの2023年の見通しは、まだまだ不確定要素が多く、「大丈夫なのか?」と先行きを案じる声が上がっている。

 昨年のリブゴルフは年間8試合だったが、今年は年間14試合が予定されており、メキシコ、スペイン、シンガボール、オーストラリアが新たに開催地として加わった。初戦は2月24日からメキシコのマヤコバで開催され、7試合目までの日時と場所はすでに発表されている。だが、残る7試合はいまだに未定で未発表のままだ。

 そして、それ以上に心配されているのは、今年から開始される予定の「チームのフランチャイズ化」という新プロジェクトの行方だ。

 4人1組からなる全12チームそれぞれが独自の名前とロゴマークを持ち、チーム独自のキャラクターグッズを製造販売したり、スポンサーを募るなどのビジネス活動を行なうフランチャイズ化プロジェクトは、2023年のリブゴルフ目玉事業とされている。

 だが、そのプロジェクトを考案し主導してきた「ディレクター・オブ・フランチャイズ」のマット・グッドマン氏が、この1月に突然辞任した。自らの意思でリブゴルフを去る決断をしたのか、それとも去ることを強いられたのかは明かされていないが、実施の目前で主導者を失ったフランチャイズ化プロジェクトには暗雲が立ち込めている。リブゴルフの首脳陣の辞任は、昨年6月のCCO(チーフ・コマーシャル・オフィサー)、10月のCOO(チーフ・オペレーティング・オフィサー) に続き、今回が3人目となった。

 そして、グレッグ・ノーマンCEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー)は形だけの傀儡であることや、その陰には実質的なCEOの存在があり、プロジェクト・ウエッジなる壮大なプロジェクトが着々と進行されていることも、米ニューヨーク・タイムズ紙によって報じられている。とはいえ、具体的な内容は一切明かされておらず、何もかもが雲をつかむような話だ。

 そんなふうに、リブゴルフにもPGAツアーにも、思わず首を傾げさせられることは多々ある。だが、混沌とした中でも、両者は前進を続けていくことだろう。

 ともあれ、2023年のゴルフ界は、そんな混迷の中で幕を開けた。

 これからどうなっていくのかは、モナハン会長の言葉を借りれば、「実際にそうなるまでは何も言えない」。そう言ってしまいたくなるほど、誰にも見通せない状況にある。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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