世界経済のグローバル化に異変 かつてないほど大きくなった負の影響で心配な“戦争リスク”

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進む「ブロック化」

 世界恐慌の最中の1932年、英国は連邦の自治領の代表を集めた会議をカナダのオタワで開いた。自治領から英国への輸入関税を減免し、他国からの輸入品に関税を課すとともに、英国の輸出品の関税優遇を自治領に求めた(オタワ協定)。連邦通貨のスターリング・ポンドを基軸とした通貨ブロックも築いた。

 米国も悪名高き「スムート・ホーリー関税法」を制定して2万以上の輸入品への関税率を引き上げ、南米諸国との間でドル・ブロックを形成した。

 これらの動きに他国が報復手段に出たことから、1932年の世界の貿易額は1929年に比べ6割も縮小してしまった。

 ブロック経済が第2次世界大戦の一因になったとの反省から、国際社会は戦後、自由貿易を推進する体制を整備した。

 2008年のリーマン・ショック直後に「世界は再びブロック経済化が進む」と懸念されたが、国際社会はG20(主要20カ国・地域)などの場で協調関係を維持し、1930年代の二の舞を回避することができた。

 残念ながら、今回は違う。ロシアがウクライナに侵攻したことで国際社会の協力関係に大きな亀裂が生じてしまったからだ。

 SWIFT(国際銀行間通信協会)に排除されたロシアを飲み込んだことで、人民元経済圏が急速に拡大しつつある。

 西側諸国がロシア産の原油を禁輸し、天然ガスの輸入依存を大幅に減らしたことから、ロシア産エネルギーの供給先はインドや中国などアジアに大きくシフトした。

 グローバル化を牽引してきた金融とエネルギーの分野でブロック化が進んでいるのだ。

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