森保ジャパン 次の「10番」はモロッコ代表にヒント 注目は3つの国籍を持つ17歳と18歳の2選手

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“日本の10番”を発掘せよ

 彼ら以外にも、右FWイリアス・シャイル(QPR)はベルギー生まれ、FWザカリア・アブクラル(トゥールーズ)はオランダ生まれ、左FWソフィアン・ブファル(アンジェ)はパリ生まれ、GKヤシン・ブヌ(セビージャ)はカナダ生まれと、経歴は多種多様で、多くの選手が欧州5大リーグでプレーしている。

 そんなモロッコと比べると、日本代表選手でキャリアが似ているのは、バルセロナ育ちの久保しかいない。同じようなケースとしては、U−19日本代表のMF中井卓大が9歳からレアル・マドリードの育成組織でプレーし、現在はトップのBチームに所属している。

 ただ、JFAも手をこまねいていたわけではない。20年10月にドイツのデュッセルドルフに、その後はスペインにも欧州オフィスを開設し、代表選手をサポートしつつ日本国籍を取得できそうな若手選手の発掘を進めてきた。

 母親が日本人の場合は、選手の名前に日本名が入らないこともあり、これまでは見過ごしてきたからだ。

 そうして発掘された選手が、スペイン生まれで現在はバルセロナの育成組織でプレーする17歳のDF高橋センダゴルタ仁胡(父親はアルゼンチン人)であり、香港生まれで12歳からイギリス育ちの18歳の右SB前田ハドー慈英(ブラックバーン)らだ。

 2人とも3カ国の国籍を選択できたが、昨年5月にフランスで開催された大会にU−19日本代表としてプレーした。

 成果がすぐに出るかどうかは彼らの成長次第だが、恵まれた環境にいることはアドバンテージと言えよう。これまでの高校サッカーかJクラブという育成過程に、新たなカテゴリーが生まれつつある。今後は欧州に限らず、そのネットワークをワールドワイドに広げていくことがJFAの課題となる。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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