追悼「あき竹城さん」、山形弁で愛された個性派女優の「ペコちゃん」コレクション

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純粋な人

 83年、カンヌ国際映画祭の最高賞を受賞した今村昌平監督の「楢山節考」で、緒形拳演じる主人公の後妻をシリアスに演じて女優開眼。

 映画評論家の垣井道弘さんは思い出す。

「ふたりが一糸まとわぬ姿で激しくまぐわう場面は、棄老を主題に生と死を描くうえで重要でした。土の香りがする実直な働き者を演じながら、それは地のままだった。考えていた以上に純粋な人だと今村監督も高く評価していました」

 降旗康男監督の「夜叉」、伊丹十三監督の「マルタイの女」などで脇役でも作品を豊かにした。NHK大河ドラマをはじめ、テレビの出演は枚挙にいとまがない。

 89年、8歳年下で服飾関係の会社に勤めるサラリーマンとの良縁に恵まれた。

「秘密のケンミンSHOW」や「炎の体育会TV」をはじめ、この20年ほどはバラエティー番組の顔になる。さりげなく番組を盛り上げ、共演者に慕われた。

「御主人と一緒に帰省してきました。彼も明るくて気持ちのいい人で、同級生仲間同然になりました。あきさんは控えめで食事をしたお店にはもちろん、私たちにまで気を使う。全員分のおみやげを持ってきて、仲間に不幸があった時にはお花が届いた。芸能界のことを聞いても裏話や悪口を絶対に言わなかった」(本田さん)

ペコちゃんのグッズを集めていた

 45年以上も人気は衰えなかったが、この2年ほど姿が見えなかった。12月15日、大腸がんのため75歳で逝去。

 不二家のペコちゃんのグッズを長年収集していた。

 経済アナリストの森永卓郎さんは言う。

「私がさまざまなもののコレクターだと知って3年ほど前、ペコちゃんの品々を段ボール箱3個分も送ってくれた。今思えば体調に何かを感じ、ペコちゃんの居場所を私に託したのでしょう。実は繊細で物事を見渡していたのがあきさんらしい。受け取った品は飾っています」

デイリー新潮編集部

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