最近「薄暗いコンビニ」が増えている深刻な事情 「店舗側の経営努力だけでは…」

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 深夜でもまぶしい光を放つイメージから一点、最近は照明を落として営業するコンビニが増えている。電気代高騰の影響による対策だが、中には経営が危うい深刻な店舗もあるようだ。知られざるコンビニの電気事情を取材した。

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「あまり詳しくお話しするとお店が特定されてしまうのですが……昨秋のある月の水道光熱費は約40万円でした。前年比140%超えです。そろそろ限界ですよ」

 と嘆くのは、東京都内で複数のコンビニを経営するオーナーだ。各チェーンとも店舗の光熱費は本部と分担する契約になっているが(後述)、電気代の上昇はそれだけではまかないきれなくなっているという。

「一般的に冬の方が光熱費はかかりますから、今は状況がさらに悪い。お客さんのことを考えると暖房を切るわけにもいかず、天井の明かりを暗くしたりしてなんとか凌いでいる状況です。ジュースなどを置いているオープンケースにビニルシートをかぶせて、冷やすのにかかる電気代を抑えたりもしています。正直、見栄えはあまり良くないですけれど」

 高騰する電気代の影響を受けているのはどの業界も同じであるものの、24時間営業かつ充実した冷凍食品の管理などでも電気に頼りがちなコンビニは、とりわけダメージが大きいといえるだろう。〈セブン-イレブンは22年上期、水道光熱費の上昇でコストが75億円増え、ファミマも40億円増加した〉(「週刊ダイヤモンド」2022年12月24日・31日合併号)というデータもある。

家庭の30~40倍の電気使用量、各チェーンの本部負担は

 店長としてローソンでの勤務経験があるマーケティングアナリストの渡辺広明氏は「今後は経営が立ちいかなくなる店舗も出てくるかもしれない」と懸念する。

「コンビニの電気使用量は普通の家庭の30~40倍とされていて、その半分冷蔵・冷凍機器によるものです。たとえば電気代の負担が例年と比べて月に20万円かかるようになってしまったら、コンビニの店舗にはひと月の利益が50万円というところもざらにありますから、契約次第では電気代だけで手取りが大きくマイナスになってしまう。大部分は本部も払ってくれるとはいえ、店舗側の経営努力ではどうにもできない部分もあり、深刻です」

 加盟店と光熱費の負担はどのような契約になっているのか。各チェーンに取材すると、

「本部80%、加盟店20%で一律としております。上限設定は設けておりません」(セブン-イレブン)

「年間水道光熱費に対し助成金として、360万円以下の部分の90%を本部が支払う制度です」(ファミリーマート)

「光熱費の50%を本部が負担しています。負担の上限は1カ月25万円です」(ローソン)

 という答えだった。ただし渡辺氏は、

「売り上げから本部に支払うロイヤリティー率の違いもあるので、電気代の負担契約の違いを比べてチェーンの良し悪しを論じるつもりはありません。ただ、私が取材したファミリーマートのある店舗では、ひと月あたり上限30万円(年間上限360万円)の助成では足りず、超えてしまった月の光熱費はオーナーが負担し生活に影響が出ているというケースもありました」

 と語る。

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