歯磨きCMで人気「江原真二郎」、亡き息子の告別式の日も舞台に立った「芸能一家」の肖像【2022年墓碑銘】

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パーキンソン病を発症

 映画評論家の北川れい子さんは言う。

「今井監督が江原さんに見いだした飾らない人柄は、家族そろってのコマーシャルの魅力に連なっています」

 子供たちはカメラ慣れして育ち、それぞれ土家歩、土家里織の本名で芸能界ヘ。

 だが、家族は惨事に見舞われる。90年、歩さんは高速道路での交通事故のため26歳で亡くなったのだ。

 江原さんは、日生劇場で「花霞」に出演中。杉村春子さんを相手に、実業家とその息子の一人二役を演じる重要な立場にいた。役者の定めだと言い、通夜の日も告別式の日も朝から舞台に向かった。参列者には妻と長女が気丈に対応した。

 97年、中原さんに大腸がんが見つかる。心配する姿を見せては妻を落ち込ませると江原さんは平静を装ったが、メディアの取材を受けた時に思わず涙ぐむ。幸い手術で克服したが、その後も妻の体調を気遣った。

 2017年にパーキンソン病を発症。中原さんが自宅で介護したが症状が進み、21年秋に同病の専門施設に。効果的な治療法がない難病の進行性核上性まひと判明。

 9月27日、85歳で逝去し、12月9日に訃報が伝わった。

 中原さんは12日の「徹子の部屋」に出演。連れ添った62年の日々に感謝した。長女もまた両親を支え続けていた。歯磨き粉のコマーシャル終了から40年。家族の変わらぬ温かさがあった。

デイリー新潮編集部

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