M-1王者 ディスり漫才「ウエストランド」の原点は“恵まれた環境”にあり

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

ツービートの系譜

 山田は、それほど褒めていなかったが、

「ウエストランドについて『予習したら一番面白くなかった』とまで言っていましたからね。でも、彼女は毒舌漫才の身近にいた人ですから、最終的にウエストランドに票を入れたのだと思います。ディスり漫才、毒舌漫才は、今に始まったものではありません。漫才ブームの頂点にあったツービートがまさにそれでした。ツービートと山田は、かつては同じ太田プロの所属でしたから」

 ビートたけしとビートきよしによるツービートは、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」「気をつけよう、ブスが痴漢を待っている」「注意一秒ケガ一生、クルマに飛び込め元気な子」「寝る前に、ちゃんと絞めよう親の首」などなど、老人いじめやブスいじめ、田舎者(カッペ)いじめなど、“毒ガス”漫才がウリだった。

「かつて太田プロには、爆笑問題も所属していました。彼らの漫才もツービートのスタイルに近いところがあります。爆問が独立して芸能事務所タイタンを設立し、そこに所属しているのがウエストランドです」

 毒舌の系譜ということか。

タイタン所属という幸運

「ウエストランドはタイタンに所属したことが幸運だったとも言えます。タイタンは吉本興業や松竹芸能のように常設の“小屋”は持っていませんが、2カ月に一度(偶数月)、事務所が主催する『タイタンライブ』を開催し、一般の観客のほかにテレビ局の現役プロデューサーやディレクターを招待しています。ライブの模様は『タイタンシネマライブ』と題して、全国のTOHOシネマズで生中継しています」

 どこでも楽しめるというわけだ。

「重要なのは“大親分”の爆笑問題が必ず出演し、今も新作漫才をかけていること。親分が新作をかけるため、子分たちも新ネタを出さないわけにはいきません。個性派が多くなり、我が道を行くネタを出してくるのです。退所しましたが、創価学会員だったのに池田大作名誉会長をディスりまくる長井秀和はじめ、新語・流行語大賞に輝きながら仕事を選んで迷走する日本エレキテル連合、猿回しのゆりありく、『スッキリ』(日本テレビ)でアイヌ民族に対する差別表現問題を起こした脳みそ夫などなど、個性的な連中に囲まれ、のびのびと腕を磨いてきたのがウエストランドです。親分の悪口だって平気で言えるわけです」

 山田とも縁があるという。

「爆問は太田プロとケンカ別れして独立したため、干された期間があった。山田も太田プロとの関係が悪化し、2019年に独立。今回の審査員就任で久しぶりに表舞台に立ちました。タイタンの芸人にシンパシーを感じて1票入れた可能性もある。ひょっとすると、優勝したウエストランドを差し置いて、実は一番株を上げたのは山田邦子だったかもしれません」

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。