M-1王者 ディスり漫才「ウエストランド」の原点は“恵まれた環境”にあり

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 若手漫才師の日本一決定戦「M-1グランプリ2022」(テレビ朝日/ABCテレビ制作)の決勝戦が18日に生放送され、ウエストランドが優勝した。なぜディスり漫才は勝てたのか。

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 関東地区の世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ)は17・9%で、昨年の18・5%から微減したが、関西地区は30・1%で13年ぶりの30%超を記録した。民放プロデューサーは言う。

「関西地区の個人視聴率は21・6%、占拠率は51・4%と凄まじい数字になりました。上沼恵美子、オール巨人という関西弁の大御所審査員が抜け、代わりに標準語の山田邦子、博多大吉が加わりました。関西地区では数字が落ちるかと思われましたが、そうはなりませんでした」

 山田はトップバッターのカベポスターに“大好き”と言いつつも、今大会の個人最低得点となる84点をつけた。続く真空ジェシカには、山田の最高得点となる95点をつけ、ファーストラウンドはブレブレの採点で始まった。

「それでもSNSで非難の声は少なかったですね。審査が進むにつれ、だんだん“天下を取った女性芸人”としての矜持も垣間見られるようになりました」

 下馬評が高かった男性ブランコ、真空ジェシカ、敗者復活を果たしたオズワルドも、最終決戦には残れなかった。

「1番手のカベポスター、2番手の真空ジェシカは、空気に飲まれてしまった感がありました。3番手のオズワルドは、屋外ステージで行われた敗者復活戦を勝ち抜いたものの、極寒の中で待たされ、息が整わぬまま漫才に入らざるを得ませんでした」

 最終決戦には、ファーストラウンド上位3組の、さや香、ロングコートダディ、そしてウエストランドが進んだ。

絶賛された毒舌

「松本(人志)さんが『しゃべくり漫才(さや香)か、コント系漫才(ロングコートダディ)か、毒舌系漫才(ウエストランド)。三つ巴ということですね』と言っていましたが、最終的にファーストラウンドで3位だったウエストランドが、7人の審査員のうち6人の票を獲得して優勝しました(残り1票はさや香に投じた博多大吉)」

“人を傷つけない笑い”が支持される今、なぜディスり漫才が優勝できたのだろう。

「コンプライアンスにがんじがらめになっている審査員に刺さったのだと思います。BPO(放送倫理・番組向上機構)から“痛みを伴う笑い”を封じられた松本さんはじめ番組スタッフも、『よくぞやってくれた』と喝采を送りたい思いだったはずです」

 審査員たちは、ウエイストランドの漫才をこう評した。

松本:窮屈な時代なんですけど、キャラクターとテクニックさえあれば、こんな毒舌漫才も受け入れられるっていう夢がありましたよね。

立川志らく:今の時代は人を傷つけちゃいけないという(風潮だが)、あなたがたがスターになってくれたら時代が変わる。そういう毒があるのが面白いので、これが王道になってほしい。

ナイツ・塙宣之:今日の中で一番あっという間に4分が終わった感じがしました。

中川家・礼二:めちゃくちゃ面白かったです。文句系っていうのは劇場ではよく言ったりするんですけど、今回“あるなし”というテーマに沿って、すごく聞きやすかったです。

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