人員不足で「聖教新聞」配達員に彦摩呂が 自民党に「名簿」「票ノルマ」を課す公明党の落日

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公明サイドからの「過大な要求」

 とはいえ、近年はその集票力にも陰りが見える。先の参院選で公明党は比例800万票という目標を掲げながら、蓋を開ければ約618万票。2001年以降最も少ない数字だった。

 雑誌「宗教問題」編集長の小川寛大氏が言う。

「熱心な創価学会員が高齢化し、また、池田大作名誉会長が10年以上表に出てこず、カリスマ不在も続いています。それに伴い宗教としての求心力が落ちているのです」

 最近、選挙の際に自民党内で話題になるのが、公明サイドからの過大な「要求」である。自民党候補の後援会名簿を公明サイドに提供するように、という要求はこれまでにもあったが、先の自民党関係者は、

「公明党によるノルマまで課される地域も出てきました」

 と証言する。

組織力の低下

「立候補する自民党候補の想定得票の1割弱、例えば数千票を公明の比例票に回せ、というんです。これまで票を回せと言われたことはなかったんですが、いよいよ公明党も票が出なくなってきたのかなと……。さらに、その期日前投票の公明票の入り方次第で、自民候補への支援体制も変わると言われたところもある。半ば脅されている形です」

 組織力の衰えは選挙に限らない。学会元理事長・正木正明氏の息子で、元創価学会本部職員の正木伸城氏は先月、本誌(「週刊新潮」)にこうつづった。

〈学会は公称827万世帯という会員数を誇るが、その勢力は衰え続けている。(中略)私がリーダーだったある地域では、布教に熱心な信者は青年世代で1割を切っていた〉

 例えば、公称550万部の機関紙「聖教新聞」を俎上にのせて、創価学会に詳しいジャーナリストが語るには、

「2年前の5月から茨城県で聖教新聞の配達を読売新聞に委託することが話題になりました。聖教新聞の配達員は『無冠の友』と呼ばれ、『聖教の配達には折伏と同じ功徳が現れる』と池田名誉会長も過去に話すほど、学会内で尊敬を集めてきた。しかし、この茨城の一件以降、配達を他紙の販売店に委託する動きが関西を始め、徐々に広まりつつあります。学会員のお婆さんが配達中に事故に遭うこともあったといい、高齢化した配達員の負担を減らすためという理由もあるのです」

 それゆえ、こんな意外な人も「無冠の友」に――。

「グルメレポーターの彦摩呂さんです。彦摩呂さんは熱心な信者として知られていましたが、コロナで仕事が激減。学会の副芸術部長として活動しながら、昨年1月から聖教新聞の配達を始めたそうです」(同)

 そのことを報じた聖教新聞の電子版では、彦摩呂が元気の源を記者に問われ、こう答えている。

〈やっぱりお題目と新聞配達。あとは、大きな声で笑うことやね!〉

「無冠の友」の偉大さを少しでもアピールしようというわけだろうか。

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