浅野や田中を1~2人目で起用していたら、PK戦はもう少しもつれたのではないか

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PK戦の練習は?

 結果的に、南野のインサイドキックによるシュートは、コースも甘く、パワーもなく、GKドミニク・リバコビッチ(ディナモ・ザグレブ)に簡単にストップされた。

 これで2人目のキッカーMF三笘薫(ブライトン)に、「外せない」という相当なプレッシャーがかかったことは想像に難くない。

 そして彼のシュートも、コースは悪くなかったがパワーに欠け、GKリバコビッチにブロックされた。日本は2人目にして「絶体絶命」の状況に追い込まれてしまったのだ。

 試合中にスプリントした選手は疲労しているため、PK戦のキッカーに起用しないほうがいいという意見もある。

 その一方で、FWの選手には思い切りの良さがあるというのも事実だろう。今大会でゴールを決めているFW浅野拓磨(ボーフム)や交代で入ったばかりのMF田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)を1人目、2人目に起用していたら、結果はともかく、PK戦はもう少しもつれたのではないか。

 キッカーが敗戦の責任を負う必要はないが、GKのタイミングをズラすなど駆け引きもせず、あまりにも正直に蹴りすぎた。

 用意周到な森保監督は、前日練習からキッカーの順番を決めるなどPK戦でも入念な準備をしていると思っていた。

 それは違ったようだが、PK戦の前に決着をつけるプランだったのかもしれない。そのためのメッセージとして、PK戦の練習はせず、キッカーの人選も選手に委ねたのか……。

注目すべきは失点パターン

 しかし、こうした反省点は、指揮官や選手が「W杯でベスト8以上を目ざす」という目標があったからこそ見つかった、次回大会への課題でもある。

 そしてこの試合でクローズアップしなければならないのは、やはり失点シーンだろう。

 クロアチアの足が止まり始めた前半35分過ぎから、日本はボールを保持して相手を押し込むようになった。

 前半43分には右CKのトリックプレーから、最後はFW前田大然(セルティック)がこぼれ球を押し込み、今大会で初めて先制した。

 ところが後半11分、警戒していた左MFイバン・ペリシッチ(トッテナム)に同点ゴールを許してしまう。

 左サイドからの攻撃を一度はクリアしたものの、そのクロスをフリーにしてしまったペリシッチにヘッドで決められた。

 マーカー役であるCB冨安健洋(アーセナル)とCB吉田麻也(シャルケ)は、揃ってボールウォッチャーになっていて対応できず、慌てて戻ったMF伊東純也(スタッド・ランス)も間に合わなかった。

 この失点シーンは、スペイン戦のFWアルバロ・モラタ(アトレチコ・マドリー)の先制点とまったく同じである。このときはCB板倉滉(ボルシアMG)とCB吉田がボールウォッチャーになってモラタをフリーにしてしまった。

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