広島「新井貴浩」新監督に“不安材料” 世代交代を妨げる「功労者問題」を解消できるか

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埋められない「丸佳浩」、「鈴木誠也」の穴

 リーグ3連覇以降、4年連続でBクラスに沈んでいる広島。そんな低迷するチームを再建すべく、来季からは新井貴浩新監督が指揮を執ることとなった。新井監督は、地元広島の出身であり、25年ぶりの優勝を飾った2016年にはシーズンMVPに輝くなど、まさにチームの“レジェンド”と言える存在である。地元ファンからの人気も絶大で、5年ぶりの優勝を期待する声も多い。【西尾典文/野球ライター】

 しかし、冷静に現在のチームを見てみると、優勝争いに加わることは簡単ではない。2018年オフに丸佳浩がFAで巨人に、2021年オフに鈴木誠也がポスティングシステムでメジャーに移籍しており、その穴を埋められるメドはいまだに立っていない。

 これに加えて、気がかりなのが、リーグ3連覇を達成したメンバーの停滞だ。新井監督が最後にプレーした2018年のレギュラー選手の今シーズンの成績を本記事の末尾で一覧表にまとめている。ぜひご覧頂きたい。

 野手は菊池涼介、投手では大瀬良大地と九里亜蓮がそれなりの成績を残しているが、キャリアハイと比べると、寂しい数字となっており、力の衰えは隠せなくなっている。

 そして、他の選手は揃って大きく成績を落としており、年齢的なことを考えてもここから復活する可能性は低いだろう。丸、鈴木の移籍があったとはいえ、4年間であっという間にチームが変わってしまうことは驚きだ。

“世代交代”は急務だが……

 もちろん明るい材料がないわけではない。投手では、森下暢仁と栗林良吏が新たな柱となり、野手では西川龍馬や坂倉将吾、小園海斗らも成長を見せている。そんな中で新井監督に求められるのは“世代交代”の加速だ。来年は坂倉が捕手に専念することが報じられ、新たなチーム作りも見えてきている。

 その一方で、球団の体質が、新井監督の足を引っ張る可能性もあるようだ。他球団の編成担当は、以下のように分析している。

「広島は、元々ファミリー体質が強く、大幅に選手を入れ替えるようなことはあまりない球団です。金銭的な問題もありますが、FAで唯一他球団から選手を獲得していないのも特徴的ですよね。今年、(メジャー帰りの)秋山翔吾を獲得したのには驚きましたが、今後も活発にトレードするようなことは考えにくいですね」

 さらに、広島が抱える世代交代の難しさについて、こう続ける。

「そういう球団なので、(成績が振るわなくなった)“功労者”に対してもどんどん戦力外にするようなこともありません。今年の成績を考えれば、もっと自由契約にする選手が多くてもおかしくなかったと思いますが、オフで目立ったのは安部友裕くらいです。リーグ3連覇を達成した時のメンバーを残しておくとなると、二軍でも当然、若手の出場機会は減ることになります。そんな中で、世代交代をしようというのは簡単ではないと思いますね」(セ・リーグ球団編成担当者)

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